急性骨髄性白血病のCBF-AML、遺伝子変異の特徴や予後不良因子となる原因を解明

2020/02/18

文:がん+編集部

 急性骨髄性白血病(AML)の予後不良因子が解明されました。新たな治療法の開発や治療成績の向上が期待されます。

CBF-AML治療の最適化、予後の改善につながる新たな治療法の開発に期待

 名古屋大学は1月28日、成人AMLの一種であるCore binding factor-AML(CBF-AML)の遺伝子変異の特徴や予後不良となる原因を解明したことを発表しました。同大大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学の清井仁教授、石川裕一助教、川島直実助教、NPO法人成人血液病治療共同研究機構らの研究グループによるものです。

 AMLの発症には、遺伝子変異、染色体異常などさまざまな要因があり、それらの要因に基づいて予後の分類が提唱されています。CBF-AMLは、日本人の成人AML患者さんの約20%を占め、RUNX1-RUNX1T1もしくはCBFB-MYH11という2つの異なる遺伝子やその一部が融合した遺伝子が発現しています。AMLの中でも予後が良好なグループに分類されていますが、40%の患者さんでは再発が認められており、CBF-AMLの予後を判別するための因子の同定が求められていました。

 研究グループは、日本人の成人CBF-AML患者さん199人が参加した臨床試験「CBF-AML-209-KIT試験」の対象者の遺伝子変異解析を行いました。その結果、CBF-AML全体で、KIT、FLT3、NRAS、KRAS遺伝子をはじめとする細胞増殖に関わる遺伝子変異が高頻度であることが判明しました。また、RUNX1-RUNX1T1陽性のCBF-AMLでは、KIT遺伝子変異が再発と生存に対する予後不良因子となること、CBFB-MYH11陽性のCBF-AMLでは、KIT遺伝子変異は予後に影響を及ぼさず、NRAS遺伝子変異と治療後の微小残存病変の存在が、再発に対する予後因子として重要であることも見出しました。

 研究グループは、今後の展開として次のように述べています。

 「同定された予後不良因子に基づくCBF-AMLに対する新たな治療方法の開発、成人血液病治療共同研究機構による多施設共同臨床試験を通じた新たな治療の有効性の評価を行う予定です。CBF-AML治療の最適化、予後の改善が期待されます」