血管内大細胞型B細胞リンパ腫の予後を改善する標準的治療法を確立

文:がん+編集部

 悪性リンパ腫の一種「血管内大細胞型B細胞リンパ腫」に対する前向き臨床試験が行われ、予後の改善につながる標準的治療法が確立されました。

臨床試験の結果、2年無増悪生存期間が76%、2年全生存割合が92%

 名古屋大学は3月12日、血管内大細胞型B細胞リンパ腫に対する前向き臨床試験の結果を発表しました。同大医学部附属病院血液内科の島田和之講師、同大大学院医学系研究科血液・腫瘍内科学の清井仁教授、三重大学医学部附属病院血液内科の山口素子講師らと、IVL研究会に参加する国内多施設の研究者との共同試験です。

 血管内大細胞型B細胞リンパ腫は、稀な悪性リンパ腫の一種で、リンパ節の腫れがないため診断が難しいことが知られています。標準治療は未確立で、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と同じR-CHOP療法が行われていますが、脳への病変の広がりが多いことが治療上の課題でした。

 今回の臨床試験では、R-CHOP療法と、脳への病変の広がりを予防する治療(高用量メトトレキサート療法と髄腔内抗がん剤注射)を組み合わせた治療が行われました。未治療で診断時に中枢神経に明らかな病変を認めない血管内大細胞型B細胞リンパ腫患者さん38人に対し同療法を行った結果、2年無増悪生存割合が76%、2年全生存割合が92%、2年中枢神経進展・再発累積割合が3%と良好な治療成績でした。

 研究グループは、今後の展開として次のように述べています。

 「今回の研究成果により、未治療の血管内大細胞型B細胞リンパ腫に対して、世界初の前方向視試験の結果が示されました。稀で大規模な臨床試験を実施することが困難であることから、本研究で行われた試験治療が、現在の標準的治療法(みなし標準)と言えます。この研究で行われた治療は、現在の我が国での保険診療の範囲内で可能です。20歳から79歳までの患者には、すぐに実際の診療に応用することが可能になり、この病気の予後の改善が期待されます」