テプミトコ、MET遺伝子陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がんで国内承認を取得

2020/04/17

文:がん+編集部

 テポチニブ(製品名:テプミトコ)が、MET遺伝子エクソン14(METex14)スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する治療薬として国内で承認されました。

承認の基となった治験で、奏効率42.4%、奏効期間12.4か月(中央値)

 メルクバイオファーマは3月25日、MET遺伝子阻害薬テポチニブが、METex14スッキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する効能・効果で厚生労働省に承認されたことを発表しました。第2相VISION臨床試験に基づくものです。

 第2相VISION臨床試験は、METex14スッキッピング変異をリキッドバイオプシーもしくは腫瘍生検で確認された患者さんを対象に、テポチニブ単剤の有効性と安全性を評価した試験です。

 試験の結果、奏効率が42.4%、奏効期間が12.4か月(中央値)でした。この結果は、リキッドバイオプシーおよび腫瘍生検の患者さんで一貫していました。安全性を評価した130人では、ほとんどの副作用はグレード1または2であり、死亡に至った副作用が1人(急性呼吸不全)認められました。グレードを問わず10%以上の件数が報告された副作用は、末梢浮腫、悪心、下痢、血中クレアチニン増加、低アルブミン血症、アミラーゼ増加でした。130人中11人の患者さんが副作用により投与中止となり、このうち最も多く認められたのは、末梢性浮腫でした。

 同社取締役研究開発本部本部長/北東アジアハブ サイトヘッドの松下信利氏は、次のように述べています。

 「がん領域ではさまざまな治療法が開発されていますが、根治の難しい病気であり、非小細胞肺がんもその一つです。その中でもMETex14スキッピング変異は非小細胞肺がんの予後不良因子と考えられています。この変異をがんの新たな治療標的と考え、METex14スキッピング変異を有する非小細胞肺がんを対象としてテポチニブを開発してまいりました。本日、世界に先駆けて日本で製造販売承認を取得し、日本におけるプレシジョン・メディシンの推進に貢献できることを大変誇りに思っています。今後も患者さんに新たな治療選択肢を提供できるよう、研究開発に取り組んでまいります」