アドセトリスとCHP併用療法、成人sALCLに対する治療法としてCHMPが肯定的見解を示す

2020/04/21

文:がん+編集部

 未治療の全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の成人患者さんに対する、ブレンツキシマブ ベドチン(製品名:アドセトリス)と化学療法の併用療法について、欧州医薬品評価委員会(CHMP)が肯定的見解を示しました。

ECHELON-2試験では、病勢進行または死亡リスクを29%低減

 武田薬品工業は4月1日、悪性リンパ腫治療剤ブレンツキシマブ ベドチンついて、未治療のsALCL成人患者さんに対するフロントライン治療として、CHP(シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニゾン)との併用療法で適応追加承認を推奨すると欧州医薬品庁(EMA)のCHMPが示したと発表しました。第3相ECHELON-2試験の結果に基づくものです。

 ECHELON-2試験は、未治療のsALCL患者さんを含むCD30陽性末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)患者さんにおいて、ブレンツキシマブ ベドチンとCHPの併用療法を、標準治療であるCHOP療法(シクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン)と比較した臨床試験です。ブレンツキシマブ ベドチンとCHPの併用療法は、CHOP療法と比較して主要評価項目の無増悪生存期間を29%延長しました。安全性に関しては、併用療法はCHOP療法と同様で、他の化学療法との併用療法で確立された安全性プロファイルとも一致するものでした。

 ブレンツキシマブ ベドチンは、sALCLを含む複数のタイプの末梢性T細胞リンパ腫の表面に発現しているCD30抗原を標的とした抗体薬物複合体です。同剤は、欧州ではsALCLのフロントライン治療として承認されていません。一方、日本では、未治療を含むCD30陽性のホジキンリンパ腫およびPTCLの治療剤として承認されています。

 Duran i Reynals病院カタルーニャがん研究所のEva Domingo-Domenech医師は、次のように述べています。

 「この数十年間、PTCLの治療に大きな進展はありませんでした。これまで、この患者さんを対象とした無作為化臨床試験は実施されておらず、最適な治療法を確立することは困難でした。現在行える治療法での転帰は不良なことが多く、新たな治療選択肢が切望されています。アドセトリスが未治療の成人sALCL患者への治療薬として承認されれば、欧州の患者さんに重要な治療選択肢を提供できることになります」