MSI-HighまたはdMMRの進行大腸がんに対する治験で、キイトルーダが無増悪生存期間を延長

2020/04/27

文:がん+編集部

 マイクロサテライト不安定性(MSI-High)またはミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の進行大腸がんに対する治験で、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)が無増悪生存期間を有意に延長しました。

KEYNOTE-177試験は、キイトルーダと標準化学療法を直接比較した初の第3相試験

 米メルクは4月2日、MSI-HighまたはdMMRの切除不能な進行・再発大腸がんの初回治療において抗PD-1抗体ペムブロリズマブを評価する第3相KEYNOTE-177試験で、本試験の2つの主要評価項目の1つである無増悪生存期間を達成したことを発表しました。

 KEYNOTE-177試験は、ペムブロリズマブ単剤と治験担当医が選択する標準化学療法を比較した臨床試験です。化学療法は、mFOLFOX6単剤、mFOLFOX6とベバシズマブ(製品名:アバスチン)、mFOLFOX6とセツキシマブ(製品名:アービタックス)、またはFOLFIRI単剤、FOLFIRIとベバシズマブ、FOLFIRIとセツキシマブ、の中から選択されました。

 中間解析の結果、ペムブロリズマブ単剤は化学療法と比較して、統計学的に有意な無増悪生存期間を延長しました。もう1つの主要評価項目である全生存期間については変更なく評価は継続されます。安全性に関しては、これまでに報告されている試験で認められているものと一貫しており、新たな安全性の懸念は特定されませんでした。

 同社の研究開発部門のシニアバイスプレジデントでグローバル臨床開発責任者、チーフメディカルオフィサーのRoy Baynes博士は、次のように述べています。

 「このたび、キイトルーダは抗PD-1抗体の単独療法として初めて、MSI-Highの大腸がん患者において現在の標準治療レジメンであるmFOLFOX6+ベバシズマブなどの化学療法との直接比較試験において統計学的に有意な無増悪生存期間の延長が認められました。初回治療におけるこのデータにより、MSI-HighまたはdMMRを有する腫瘍に対しキイトルーダの単独療法が有効であることがさらに示されました。当社は医学界や規制当局に速やかにこのデータを提供してまいります」

 ペムブロリズマブは2017年5月に、がん種にかかわらず、MSI-HighまたはdMMRの固形がんを有する既治療患者さんに対し、バイオマーカーに基づいて使用できる初の治療薬として、米国食品医薬品局から承認を取得しています。