Retevmo、RET遺伝子陽性の肺がんと甲状腺がんの治療薬としてFDAが承認

文:がん+編集部

 RET融合遺伝子陽性の肺がんと甲状腺がんの治療薬「セルペルカチニブ(製品名:Retevmo)が、米国食品医薬品局(FDA)に承認されました。

前治療歴のある非小細胞肺がん患者さん11人中10人で脳転移に対し奏効が認められる

 米イーライリリーは5月8日、転移性RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんと進行性または転移性のRET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様がん、進行性RET融合遺伝子陽性の甲状腺がんを適応とする治療薬「セルペルカチニブ」について、FDAから承認を取得したことを発表しました。第1/2相LIBRETTO-001試験に基づく迅速承認です。

 LIBRETTO-001試験は、RET遺伝子に起因するがん患者さん702人を対象に、セルペルカチニブ単剤による治療法を評価した臨床試験です。同試験の対象は、前治療歴なし、複数の前治療歴あり、それぞれのRET融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんと甲状腺がん、さらにRET遺伝子変異陽性の甲状腺髄様がん、RET遺伝子異常のあるその他の固形がん患者さんです。主要評価項目は奏効率および奏効期間、副次的評価項目は、中枢神経系における奏効率と奏効期間でした。解析結果は、以下の通りです。

RET融合遺伝子陽性
非小細胞肺がん
RET遺伝子変異陽性
甲状腺髄様がん
RET融合遺伝子陽性
甲状腺がん
全身治療歴なし前治療歴ありカボザンチニブ/
バンデタニブ投与歴なし
前治療歴あり全身治療歴なし前治療歴あり
患者数391058855819
奏効率
(95%CI)
85 (70, 94) 64 (54, 73) 73 (62, 82)69 (55, 81)100 (63, 100)79 (54, 94)
奏効期間
中央値(月)
(95%CI)
未達成
(12, 未達成)
17.5
(12, 未達成)
22
(未達成, 未達成)
未達成
(19.1, 未達成)
未達成
(未達成, 未達成)
18.4
(7.6, 未達成)

 また、測定可能な脳転移を認める前治療歴のある非小細胞肺がん患者さん11人中10人で頭蓋内奏効が認められ、中枢神経系における奏効期間は10人全員が6か月以上でした。

 副作用による中止率は 5%でした。臨床検査値異常を含む 25%以上の頻度で発現した副作用は、ASTの増加、ALTの増加、グルコースの増加、白血球の減少、アルブミンの減少、カルシウムの減少、口内乾燥、下痢、クレアチニンの増加、アルカリフォスファターゼの増加、高血圧、疲労、末梢性浮腫(腕または脚部の腫脹)、血小板の減少、総コレステロールの増加、発疹、ナトリウムの減少、便秘でした。さらに、最もよく見られた重篤な 副作用(2%以上)は肺炎でした。

 LIBRETTO-001 試験の治験統括医師であるAlexander Drilon医師は、次のように述べています。

 「臨床試験において、セルペルカチニブを投与すると、治療困難な脳転移に対する奏効も含めて、進行性肺がん患者の大多数で臨床的に意味のある奏効が認められました。セルペルカチニブの承認は、EGFRおよびALKの活性型遺伝子異常を認めるがんに対する治療薬と同様に、RETに起因するがんも治療標的にできるようになりました。本薬剤の承認は、非小細胞肺がん治療のすべての治療体系にとって重要な出来事です」