アルンブリグ、ALK陽性転移性非小細胞肺がんの一次治療薬としてFDAが承認

2020/06/15

文:がん+編集部

 ALK陽性の転移性非小細胞肺がんに対する一次治療薬として、「ブリグチニブ」(製品名:アルンブリグ)が米国食品医薬品局(FDA)から承認されました。

アルンブリグ、ザーコリに比べて病勢進行または死亡リスクを2倍以上低下

 武田薬品工業は5月25日、FDAが承認した検査でALK融合遺伝子陽性と診断された転移性の非小細胞肺がんの一次治療薬として、ブリグチニブがFDAから承認されたことを発表しました。今回の承認は、第3相ALTA-1L試験の結果に基づくものです。

 ALTA-1L試験は、ALK阻害薬による前治療歴のないALK陽性の局所進行または転移性の非小細胞肺がんの成人患者さんを対象にした臨床試験です。ALK阻害薬のクリゾチニブ(製品名:ザーコリ)とブリグチニブを比較して、安全性と有効性で評価されました。

 2年以上の追跡調査の結果、ブリグチニブを投与した患者群は、クリゾチニブ投与群より良好な結果でした。特に治療開始時に脳転移がある患者さんに対し、抗腫瘍効果が有意に高いことが示されました。無増悪生存期間は、ブリグチニブ群24か月、クリゾチニブ群11か月という結果で、病勢進行または死亡リスクを2倍以上低下させました。全奏効率は、ブリグチニブ群74%、クリゾチニブ群62%でした。また、測定可能な脳転移がある患者さんの頭蓋内病変の奏効率は、ブリグチニブ群78%、クリゾチニブ群26%でした。

 コロラド大学がんセンター肺がんリサーチのJoyce Zeff ChairであるRoss Camidge医師は、次のように述べています。

 「ALTA-1L試験の結果により、クリゾチニブと比較して良好な結果が示されたことから、ALK陽性非小細胞肺がん患者さんに対するファーストライン治療のオプションとしてブリグチニブが治療薬のリストに加わりました。ブリグチニブは、クリゾチニブと比較し、特にベースラインで脳転移を有する患者さんに対して良好な有効性を示すとともに、何年にもわたり疾患を管理するのに重要な要素となり得る1日1錠という服薬負担の少なさも示しました。これらのデータにより、ブリグチニブのファーストライン治療薬としての可能性が確立されました。今回のFDAの承認により、医師と患者さんにとって新たな可能性が開かれるものと確信しています」