トラスツズマブ デルクステカン、HER2陽性の進行・再発胃がんまたは胃食道接合部がんに対し有意な改善を示す

2020/06/29

文:がん+編集部

 HER2陽性の進行・再発胃がんまたは胃食道接合部がんに対し、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201)を評価したDESTINY-Gastric01試験の結果、高い有効性を示しました。

トラスツズマブ デルクステカン、対照薬と比較して死亡リスクを41%低減

 第一三共は6月1日、HER2陽性の進行・再発胃がんまたは胃食道接合部がんを対象としたDESTINY-Gastric01試験の結果を米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表したことを明らかにしました。

 DESTINY-Gastric01試験は、2回以上の治療で増悪が認められたHER2陽性の進行・再発胃がんまたは胃食道接合部がん患者さんを対象に、トラスツズマブ デルクステカンと医師が選択した治療薬(イリノテカンまたはパクリタキセル)を比較して、有効性と安全性を評価した第2相臨床試験です。

 主要評価項目である奏効率は、医師の選択した治療薬12.5%に対し、トラスツズマブ デルクステカンは42.9%と、統計学的有意にかつ臨床的に意義の高い改善を示しました。副次的評価項目の全生存期間中央値は、医師の選択した治療薬8.4か月に対し、トラスツズマブ デルクステカンは12.5か月と延長を示し、死亡リスクを41%減少させました。

試験結果の詳細は、以下の通りです。

有効性指標本剤単独投与群治験医師選択薬投与群
対象者数119人56人
確定した客観的奏効率(%)42.90%12.50%
完全奏効 (%)8.40%0%
部分奏効 (%)34.50%12.50%
確定した病勢コントロール率 (%)85.70%62.50%
確定した奏効期間中央値 (月)11.3か月3.9か月
対象者数125人62人
全生存期間中央値 (月)12.5か月8.4か月
1年生存率 (月)52.10%28.90%

 安全性に関して、対象患者さん125人に認められたグレード3以上の有害事象は、好中球数減少(51.2%)、貧血(37.6%)、白血球数減少(20.8%)、食欲減退(16.8%)などでした。間質性肺炎は、9.6%が治療と関連のある有害事象と認められ、その多くはグレード1または2で、グレード3以上の間質性肺炎は2人、グレード4が1人でした。