HER2陽性の非小細胞肺がんに対する「トラスツズマブ デルクステカン」を評価した第2相試験の結果をASCOで発表

2020/07/01

文:がん+編集部

 HER2陽性の非小細胞肺がんを対象に、トラスツズマブ デルクステカン(DS-8021)の有効性と安全性を評価した第2相DESTINY-Lung01試験の中間解析が米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表されました。

前治療歴が2回ある対象者の中間解析では、奏効率61.9%、病勢コントロール率90.5%、無増悪生存期間の中央値14か月

 第一三共とアストラゼネカは6月1日、HER2陽性で切除不能または転移性の非小細胞肺がん患者さんに対し、抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカンを評価したDESTINY- Lung01試験の結果をASCOで発表したことを明らかにしました。

 DESTINY- Lung01試験は、標準治療が不応または不耐、もしくは標準治療がなくなったHER2陽性の非小細胞肺がん患者さんを対象とした3つのパートで構成された臨床試験です。HER2過剰発現している患者さんに対し、コホート1は6.4mg/kg、コホート1aは5.4mg/kgのトラスツズマブ デルクステカンを投与。コホート2は、HER2陽性の患者さんに対し、6.4mg/kgが投与されました。主要評価項目は奏効率、副次的評価項目は奏効期間、病勢コントロール率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性、薬物動態などでした。

 中間解析の結果、前治療歴が2回ある対象患者さん42人の奏効率が61.9%、病勢コントロール率が90.5%、無増悪生存期間の中央値が14か月でした。奏効期間の中央値は、未達です。

 安全性に関しては、42人の対象患者さんで認められたグレード3以上の有害事象は、好中球数減少(26.2%)、貧血(16.7%)などでした。間質性肺疾患については、11.9% が治療と関連があると判定され、そのすべてがグレード2でした。新たな安全性シグナルは、確認されていません。

 同社とアストラゼネカは、「肺がん患者さんへ本剤を1日でも早く提供できることを期待しております」と述べています。