アイクルシグの慢性骨髄性白血病に対する臨床試験データ、ASCOとEHAで発表

文:がん+編集部

 慢性骨髄性白血病に対する治療薬ポナチニブ(製品名:アイクルシグ)の臨床試験データが、米国臨床腫瘍学会(ASCO)と欧州血液学会(EHA)で発表されました。

アイクルシグの最適投与法、45mgで開始後15mgに減量で有効性を示す

 武田薬品工業は、ASCO 2020(5月29日~6月2日開催)と第25回EHA(6月11日~14日開催)で、チロシンキナーゼ阻害薬による前治療に対し抵抗性または不耐性を示した慢性骨髄性白血病患者さんを対象に、ポナチニブを評価した第2相OPTIC試験の中間解析結果を報告しました。

 BCR-ABL1融合タンパク質は、慢性骨髄性白血病の原因となっているBCR-ABL1融合遺伝子から作られるタンパク質です。また、この融合タンパク質の、315番目のアミノ酸のスレオニンがイソロイシンに変化する「T315I変異」は、チロシンキナーゼ阻害薬が効かなくなるような変異です。

 OPTIC試験は、チロシンキナーゼ阻害薬による少なくとも2回以上の治療を受け抵抗性を示したか、チロシンキナーゼ阻害薬の治療後に、T315I変異が確認された慢性骨髄性白血病の慢性期患者さんを対象に、ポナチニブの有効性と安全性を評価した臨床試験です。

 同試験では、ポナチニブの開始容量を45mg、30mg、15mgの3つに分け、グループごとに投与されました。主要評価項目は、開始容量ごとの12か月時点での、慢性骨髄性白血病の原因となっているBCR-ABL1融合遺伝子が1%未満の割合、副次的評価項目は、12か月と24か月時点の分子遺伝学的大奏効率※1、12か月ごとの細胞遺伝学的大奏効率※2、分子遺伝学的大奏効の期間、有害事象率などでした。

 21か月間(中央値)の追跡調査の結果、45mgで投与を開始しBCR-ABL1融合遺伝子の発現量(BCR-ABL1 IS)が1%未満を達成した時点で15mgに減量することで、有効性が最適になることが示されました。この投薬方法では、動脈閉塞の有害事象の発現率が5.3%でした。

 OPTIC試験の主任研究者で、オーガスタ大学ジョージアがんセンターのJorge Cortes医学博士は、次のように述べています。

 「今回の臨床試験で、チロシンキナーゼ阻害薬による前治療に耐性または不寛容である慢性期の慢性骨髄性白血病患者さんに対し、アイクルシグを用いた治療を最適化するのに有用なデータが得られました。45mgで投与を開始しBCR-ABL1融合遺伝子の発現が1%未満を達成した時点で15mgに減量することが安全性プロファイルを維持しつつ、有効性とリスクのバランスを最適化できることがわかりました。また、3つの開始用量すべてで臨床的有用性が認められ、大多数は直前のチロシンキナーゼ阻害薬治療で血液学的完全奏効※3よりも良好な奏効を示していなかったことも重要な点です」

※1 分子遺伝学的大奏効率:血液の遺伝子検査で、BCR-ABL1融合遺伝子が見つからない状態だった人の割合。
※2 細胞遺伝学的大奏効率:骨髄中の核をもつ細胞のうち、フィラデルフィア染色体を有する細胞が0~35%含まれていた人の割合。
※3 血液学的完全奏効:血液検査で、白血球、赤血球、血小板、顆粒球などの数や形が正常範囲にあり、肝臓や脾臓の腫れなどの症状が消失した状態。