タグリッソ、ステージ1B~3A期のEGFR陽性非小細胞肺がんの術後補助療法として無病生存期間を延長

2020/07/07

文:がん+編集部

 ステージ1B~3A期のEGFR陽性の非小細胞肺がんの術後補助療法としてオシメルチニブ(製品名:タグリッソ)を評価した治験で、無病生存期間の延長が認められました。

タグリッソによる術後補助療法で、ステージ2、3A期の患者さんの再発または死亡リスクが83%減少

 英アストラゼネカは5月28日、根治的に腫瘍を完全切除したステージ1B~3AのEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんに対する術後補助療法として、オシメルチニブを評価した第3相ADAURA試験の結果を発表しました。

 ADAURA試験は、腫瘍完全切除および術後補助療法としての化学療法を伴う1B期、2期、3A期のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者さん682人を対象に、術後補助療法としてオシメルチニブまたはプラセボを投与した無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同試験です。オシメルチニブによる治療を受けた患者さんは、1日1回80mgを経口投与で3年間、または再発するまで継続されました。主要評価項目は、ステージ2および3A期の患者さんの無病生存期間で、副次的評価項目は、ステージ1B、2および3A期の患者さんの無病生存期間でした。

 解析の結果、オシメルチニブ投与群で、ステージ2、3A期の患者さんの再発または死亡リスクが83%減少しました。また、オシメルチニブを投与した全患者さんの解析でも、再発または死亡リスクが79%減少しています。

 また、2年間の無病生存率はオシメルチニブ89%、プラセボ53%。術後化学療法を受けたグループ、切除手術のみのグループ、アジア人および非アジア人などすべてのサブグループで、無病生存期間の延長が認められました。

 安全性に関しては、転移性非小細胞肺がん患者さんを対象としたこれまでの試験と一致しており、グレード3以上の有害事象発生率は、オシメルチニブ10%、プラセボ3%でした。

 ADAURA試験の治験責任医師であり、Yale Cancer Center / Smilow Cancer Hospitalの腫瘍内科部長であるRoy S. Herbst医学博士は、次のように述べています。

 「今回示されたデータは、切除手術および術後化学療法を問題なく終えてもなお再発率が高い、早期ステージのEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者さんの治療に変革をもたらすといえます。タグリッソは、治療プラクティスを変え、治療アウトカムを改善する可能性のある、待ち望まれていた新たな治療選択肢となるでしょう」