イミフィンジとトレメリムマブの併用療法、進行肝細胞がんの治験で臨床活性および忍容性を示す

2020/07/14

文:がん+編集部

 進行肝細胞がんに対し、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)とトレメリムマブの併用療法を評価した臨床試験で、臨床活性および忍容性が認められました。

イミフィンジとトレメリムマブの併用療法で、全生存期間中央値は18.7か月

 英アストラゼネカは5月29日、トレメリムマブをデュルバルマブに追加した併用療法を検証する国際共同第2相Study 22試験において、進行肝細胞がん患者さんへの有望な臨床活性と忍容性を示したことを発表しました。

 Study 22試験は、進行肝細胞患者さん433人に対し、初回治療または二次治療として複数の治療法の安全性と有効性を評価した4つのパートで構成された臨床試験です。

 4つのパートで評価された治療法は以下の通りです。

パート1:トレメリムマブとデュルバルマブの併用療法
パート2/3:デュルバルマブ単剤療法、トレメリムマブ単剤療法、トレメリムマブとデュルバルマブの併用療法
パート4:ベバシズマブ(製品名:アバスチン)とデュルバルマブの併用療法

 主要評価項目は、有害事象および重篤な有害事象を発現した患者数および用量制限毒性を発現した患者数で、副次的評価項目は、全生存期間、客観的奏効率、奏効期間でした。

 今回発表された結果は、パート2と3に参加した332人の患者さんに対する、2020年2月28日時点でのデータ解析による安全性と有効性の評価です。評価の結果、主要評価項目の安全性に関しては、すべての患者グループで許容範囲内であり、新たな安全性シグナルは認められませんでした。また、デュルバルマブ(4週ごとに投与)とトレメリムマブ(300mg単回投与)の併用療法のグループでは、全生存期間の中央値18.7か月で、同試験で評価された複数の投与法の中で最長でした。トレメリムマブとデュルバルマブ併用療法の奏効率は24%で、データ解析時点の奏効期間中央値は未達でした。

 カリフォルニア大学サンフランシスコ校医学部臨床医学部准教授であり、本試験の治験責任医師であるR. Kate Kelley医学博士は、次のように述べています。

 「Study22試験では、治療開始時にCTLA-4阻害薬を用い、免疫反応を誘導(プライミング)するという新たな治療アプローチとして、イミフィンジにトレメリムマブを追加投与することにより、進行肝がんの患者さんにおいてより強い免疫反応を誘導し、イミフィンジの臨床活性を高めることができました。今回の素晴らしい結果は、トレメリムマブとイミフィンジによる二重のチェックポイント遮断が、治療が困難で選択肢が少ないがんの新たな治療に繋がる可能性を示しています」