サークリサとKd療法、再発性の多発性骨髄腫に対し無増悪生存期間を延長し臨床上意義のある深い奏効を示す

2020/07/16

文:がん+編集部

 再発性の多発性骨髄腫に対する臨床試験で、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法(Kd療法)にイサツキシマブ(製品名:サークリサ)を追加投与することで、無増悪生存期間の延長と臨床上意義のある深い奏効が示されました。

サークリサとKd療法、病勢進行または死亡リスクを47%低下

 仏サノフィは6月2日、再発性の多発性骨髄腫に対する第3相IKEMA試験で、Kd療法にイサツキシマブを追加投与することで、Kd療法のみと比較して、病勢進行または死亡リスクが47%低下したことを発表しました。

 IKEMA試験は、1~3つの前治療を受けていた再発性の多発性骨髄腫患者さん302人を対象に、Kd療法のみ、またはKd療法にイサツキシマブを追加投与する療法を比較した臨床試験です。カルフィルゾミブ20/56mg/m2を週2回と標準用量のデキサメタゾンによるKd療法に加えて、イサツキシマブ10mg/kgを治療開始後4週間は毎週行い、その後は隔週投与されました。

 中間解析の結果、主要評価項目である無増悪生存期間を延長し、臨床上意義のある深い奏効が得られました。無増悪生存期間(中央値)は、Kd療法のみで19.15 カ月に対し、イサツキシマブ併用群は未達でした。また、この投与法の治療効果は、複数のサブグループでも一貫していました。副次的評価項目の全奏効率における有意差は認められませんでした。

 安全性に関しては、グレード3以上の有害事象は、イサツキシマブ併用群76.8%、Kd療法群67.2%で、重篤な有害事象と死亡に至った有害事象の発現率に差は認められませんでした。治療中止の主な理由は、病勢進行(イサツキシマブ併用群29.1%、Kd療法群39.8%)と有害事象(イサツキシマブ併用群8.4%、Kd療法群13.8%)でした。

 ナント大学病院血液腫瘍科のフィリップ・モロー医師は、次のように述べています。

 「IKEMA試験では、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法にサークリサを追加投与することによって、病勢進行と死亡のリスクが47%低下しました。今回の結果は、サークリサが再発性の多発性骨髄腫患者に対する新たな標準的治療法となる可能性を示唆する内容です」