低周波超音波とマイクロバブルで乳がん細胞を破壊、免疫応答を誘導する新治療法を動物実験で確認

文:がん+編集部

 低周波超音波とマイクロバブルを組み合わせて乳がん細胞を破壊し、さらに免疫応答も誘導する新たな非侵襲的ながん治療プラットフォームが開発され、動物実験で確認されました。

モデルマウス腫瘍の80%をマイクロバブルの爆発で破壊、20%は免疫応答によって攻撃

 米テルアビブ大学の研究グループは6月22日、低周波超音波とマイクロバブルを組み合わせて乳がん細胞を破壊し、さらに、体内の免疫応答を活性化させる薬剤をマイクロバブルと一緒に注入することでもれなくがん細胞を攻撃するという、新たな非侵襲的ながん治療法を開発したと発表しました。

 マイクロバブルは、血管の10分の1ほどの直径の気体で満たされた微細な気泡。モデルマウスの固形がんにマイクロバブルを直接注入し、低周波超音波(250 kHz)を1回照射すると、気泡が爆発します。この爆発によって腫瘍の80%は破壊されますが、あとの20%は死なずに残っています。しかしこの20%のがん細胞の膜には、穴が開いた状態になります。

 ここに注目した研究グループは、マイクロバブルと一緒に、インターフェロンβ(IFN-β)の遺伝子を注入しようと考えました。IFN-βは、抗腫瘍免疫を誘導するサイトカイン。穴が開いたがん細胞は、わざわざ追加の操作をしなくても(非侵襲的に)その穴からIFN-βの遺伝子を取り込み、IFN-βタンパク質を発現します。これにより、体内のT細胞はがん細胞を攻撃しやすくなるわけです。

 実際にこの効果をマウスの実験で確かめたところ、残った腫瘍の成長が抑制されました。また、モデルマウスには、体の両側に腫瘍があり、注入は片側だけに行われましたが、治療による免疫誘導によって、もう一方の腫瘍も攻撃されたことが確認されました。

 この研究を主導した同大のIlovitsh博士は、次のように述べています。

 「トロイの木馬のように機能するマイクロバブルで突破口を開き、免疫療法用の遺伝子を一緒に注入することでがん細胞を攻撃するという新しい手法が有用な可能性が示されました。この手法を応用することで、脳腫瘍などの脳関連疾患や、アルツハイマー病などの神経変性疾患の非侵襲的治療法となることが期待されます」