テプミトコ、METeX14スキッピング変異の進行非小細胞肺がん対象に臨床試験、主要解析を「The New England Journal of Medicine」で公表

2020/07/31

文:がん+編集部

 MET遺伝子エクソン14(METex14)スキッピング変異がある進行非小細胞肺がんを対象に、テポチニブ(製品名:テプミトコ)を評価したVISION試験で、臨床的奏効率と持続的な抗腫瘍活性が示されました。

VISION試験の主要解析結果、臨床的奏効率と持続的な抗腫瘍活性を示す

 独メルクは5月29日、METex14スキッピング変異を有する進行非小細胞肺がん患者さんを対象にテポチニブ単剤を評価した進行中の単群第2相VISION試験の最新データが、The New England Journal of Medicine誌に掲載されたことを発表しました。

 VISION試験の解析結果は、9か月以上の追跡調査によるものです。患者さん99人の解析では、治療ラインにかかわらず、血液検査および腫瘍組織生検により、一貫した奏効率と持続的な抗腫瘍活性が認められました。独立審査委員会の評価による奏効率は46%、奏効期間(中央値)は11.1か月、治験責任医師の評価による奏効率は56%、奏効期間(中央値)は14.0か月でした。

 治療開始時に脳転移があった患者さん11人でも治療効果は同様で、独立審査委員会の評価による奏効率は55%、奏効期間(中央値)は9.5か月、無増悪生存期間の中央値は10.9か月でした。

 今回の結果には、患者報告のQOLアウトカムも含まれており、テポチニブの投与期間中にQOLは維持され、呼吸困難の症状は安定、咳の症状は改善していました。

 安全性を評価した152人の患者さんでは、治療関連有害事象が135人(89%)で報告されました。グレード3の治療関連有害事象が38人(25%)、グレード4が3人(2%)で報告されました。治験責任医師により治験薬と関連があると判断された死亡例は、間質性肺疾患に伴う呼吸不全と呼吸困難を呈した79歳の患者さんでした。グレード3以上の主な有害事象は末梢性浮腫で、11人(7%)で認められ、重篤な有害事象は23人(15%)と報告されました。有害事象により17人(11%)が投与を中止し、50人(33%)で減量されました。主な有害事象は、末梢性浮腫による減量25人(16%)、休薬28人(18%)、投与中止は7人(5%)でした。

 米ニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターのThoracic Oncology ServiceのClinical Directorで、治験責任医師で今回の論文の筆頭著者でもあるPaul K. Paik医師は、次のように述べています。

 「METex14スキッピング変異は重要な発がんドライバーですが、最近まで非小細胞肺がんにおいて、この遺伝子変異を標的として承認された治療選択肢はありませんでした。今回の新たな知見は、METex14スキッピング変異の同定と、高齢で、がんの治療が困難なことが多い患者さんにテポチニブの持続的な抗腫瘍活性を実証するために、定期的な次世代シーケンシングが重要であることを強調するものです」