「iPS-NKT細胞」の忍容性、安全性、有効性を評価する、頭頸部がんに対する医師主導治験を開始
2020/08/05
文:がん+編集部
iPS細胞由来のNKT細胞「iPS-NKT細胞」を頭頚部がん患者さんに投与する医師主導治験が開始されました。
iPS-NKT細胞をヒトの血管内に直接投与する世界初の臨床試験
千葉大学医学部附属病院は6月29日、再発・進行頭頸部がん患者さんを対象に、iPS細胞から作成したNKT細胞「iPS-NKT細胞」の忍容性、安全性、有効性を評価する医師主導の第1相臨床試験を開始したことを発表しました。
これまで同病院では、頭頸部がんの新たな治療法として、「NKT細胞」による治療法を開発してきました。NKT細胞はリンパ球のひとつで、がんに対して強い攻撃力がありますが、ヒトの血液中には0.01%程度しか存在せず、治療法として実用化が困難でした。同病院は理化学研究所と連携し、iPS細胞からNKT細胞を作成しました。
今回開始された医師主導治験は、iPS-NKT細胞の忍容性(副作用などの発現状況を評価して適切な投与量を検討)、安全性(どのような有害事象が発現するかを確認)、そして有効性を評価することを目的としています。
治験責任医師および治験調整医師は、治験開始に際し次のように述べています。
「iPS-NKT細胞は、NKT細胞の抗腫瘍効果を担がん状態でも最大限発揮できるように開発されたiPS細胞由来のNKT細胞です。本治験は、これを用いて行う初めての臨床試験です。本治験の主目的は安全性の確認ですが、有効性についても期待を持って臨みたいと思います」
臨床試験概要
試験名:再発・進行頭頸部がん患者を対象としたiPS-NKT細胞動注療法に関する第1相試験目的:これまでに「iPS-NKT細胞」が人の血管内に直接投与された経験はないことから、本治験では、人に対する「iPS-NKT細胞」の忍容性、安全性(どのような有害事象がどの程度発現するのか)、そして有効性について評価することを目的としている
試験デザイン:単施設、非盲検、非対照、用量漸増試験
対象疾患:標準治療後又は標準治療の適応とならない再発・進行頭頸部がん
対象被験者数:4~18人(副作用の発現状況による)