世界の乳がん罹患率、居住地域と閉経の前後によって傾向異なる

文:がん+編集部

 世界44か国の乳がん患者さんのデータ分析から、罹患率や死亡率と、国経済状況との関係ついて新たな知見が得られました。

日本を含む先進国で罹患率は高いが、低所得国でも罹患率増加

 カナダのカルガリー大学は7月24日、乳がんの罹患率と死亡率について、世界44の国と地域(以下、44か国)の患者さんデータを分析し、居住国と年齢によって傾向が異なることを明らかにしたと発表しました。

 今回研究グループは、世界保健機関(WHO)がまとめた全世界のがん患者データ「Globocan」(2018年)、および世界5大陸のがんデータベースを用いて、乳がんの罹患率と死亡率について検討を行いました。対象者のうち、50歳以上を閉経後とみなしました。44か国はそれぞれ、先進国、高所得国、中所得国、低所得国のいずれか所得カテゴリーに割り当てられ、日本は先進国に割り当てられました。

 2018年に乳がんと診断されたのは、閉経前で約64万5,000人、閉経後で約144万人。乳がんの罹患率は4つの所得カテゴリーのうち先進国で最も高く、閉経前10万人当たり30.6例、閉経後10万人あたり253.6例でした。

 一方、死亡率については、閉経前は低所得国(10万人当たり8.5例)が先進国(10万人当たり3.3例)よりも高いとわかりました。閉経後は低所得国で10万人当たり51.4例、先進国で10万人当たり52.7例でした。また、年齢調整罹患率(年齢構成を調整した10万人当たりの罹患者数)は、閉経前が44か国のうち20か国で増加。閉経後は44か国のうち24か国で増加しており、特に低、中所得国で顕著でした。

 「運動量の低さやアルコール消費量の増加といった西洋式の生活様式に近づいていることで、低所得国でも乳がんが増えていると考えられます。今後、閉経の前後で乳がんを区別し、予防策を講じることで、乳がん発症の低減に貢献していきたい」と、研究グループは述べています。