新規放射性医薬品「F-1515」、神経内分泌腫瘍の治療薬として国内申請

2020/09/25

文:がん+編集部

 膵臓、消化管および肺の神経内分泌腫瘍に対する新たな治療薬として、放射性医薬品「F-1515」の承認申請が行われました。

F-1515、神経内分泌腫瘍に発現している受容体と結合し放射線を照射することで治療効果を発揮する放射性医薬品

 富士フイルム富士化学は8月31日、ルテチウム(177Lu)オキソドトレオチド(開発コード:F-1515/海外製品名:Lutathera、ルタセラ)について、膵臓、消化管および肺の神経内分泌腫瘍の治療薬として厚生労働省に対し製造販売承認申請を行ったことを発表しました。今回の承認申請は、国内で実施された第1/2相試験の結果によるものです。

 神経内分泌腫瘍は、ホルモンやペプチドを分泌する全身のさまざまな臓器にある神経内分泌細胞に由来する疾患で、特に膵臓や消化管、肺で多く発生します。治療法は外科手術が第一選択です。切除不能な状態まで進行した場合には、薬物療法が行われますが、治療薬が限られているため、新たな治療薬が求められていました。

 F-1515は、ソマトスタチンと呼ばれるホルモンの類似物質に放射性同位元素ルテチウム177を標識した放射性医薬品。神経内分泌腫瘍では、スマトスタチン受容体が多く発現しているため、放射性物質ルテチウム177を標識したスマトスタチンの類似物質が受容体に結合し、がん細胞に放射線を照射することで攻撃します。

 今回のF-1515の承認申請とともに、腎臓の被ばくを低減するための輸液「L-リシン塩酸塩、L-アルギニン塩酸塩(開発コード:F-1520/製品名:LysaKare)」の承認申請も行われています。