免疫チェックポイント阻害薬の効果予測を可能にするバイオマーカーを同定

文:がん+編集部

 免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を高精度に予測するバイオマーカーが同定されました。治療効果の予測に基づく免疫チェックポイント阻害薬による治療の実現が期待されます。

PD-1発現のバランスが、PD-1/PD-L1阻害薬の治療効果と相関

 国立がん研究センターは9月1日、免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を予測するバイオマーカーを同定し、さらにその測定・検出方法を開発、今後、臨床での実用化に向けて臨床試験に展開していくことを目指す、と発表しました。同研究所と名古屋大学などの研究チームによるものです。

 免疫チェックポイント阻害薬は、さまざまながん治療において高い効果が期待される反面、治療を受けた患者さんの半数以上では効果がないため、治療効果を予測するバイオマーカーの同定が期待されていました。がん細胞に発現しているPD-L1やがん細胞の体細胞変異が有用なバイオマーカーの候補とされていましたが、治療効果との相関は認められていませんでした。

 研究チームは、免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブもしくはアテゾリズマブ)による治療を受けた悪性黒色腫、肺がん、胃がん患者さんの治療前の組織標本を用いて、腫瘍浸潤リンパ球に関する詳細な免疫学的解析を行いました。その結果、PD-1発現のバランスがPD-1/PD-L1阻害薬の治療効果と相関があること発見し、高い精度で治療効果を予測できることを見出しました。

 研究チームは、今後の展望として次のように述べています。

 「これまで、PD-1/PD-L1阻害薬治療はさまざまながん種において、治療効果が証明されてきました。その一方で、これまでの臨床試験の結果、がん種によってはPD-1/PD-L1阻害薬治療の有用性を証明されなかった例もあります。この一因として、有用な治療効果予測バイオマーカーがなかったことが挙げられます。さらに肺がんなどの治療においては、PD-1/PD-L1阻害薬単剤で治療効果が見られる可能性がある患者さんも適切なバイオマーカーが存在しないため、有害事象の発生頻度が高くなるがん免疫併用療法が実施されています。今後、本研究グループが同定した治療効果予測バイオマーカーを使用することで、PD-1/PD-L1阻害薬治療の効果が期待できる症例を高精度に予測し、より精密な個別化医療の実現が期待できます。国立がん研究センターでは、新たに開発した測定方法を用い、臨床での検証を進めます」