キイトルーダ、切除不能な進行・再発のMSI-High大腸がんに対する効能・効果で承認申請

2020/10/01

文:がん+編集部

 ペムプロリズマブ(製品名:キイトルーダ)が、「切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)の結腸・直腸がん」に対する効能・効果で承認申請されました。今回の一部変更申請が承認されれば、未治療のMSI-Highを有する結腸・直腸がん患者さんにも適応となります。

KEYNOTE-177試験の結果、キイトルーダは化学療法に対し病勢進行または死亡リスクを40%低減

 MSDは9月10日、ペムブロリズマブについて、切除不能な進行・再発のMSI-Highを有する結腸・直腸がんに対する製造販売承認事項の一部変更承認申請を行ったことを発表しました。今回の承認申請は、KEYNOTE-177試験の結果に基づくものです。

 KEYNOTE-177試験は、治療歴のない切除不能な進行・再発のMSI-HighまたはMMR(ミスマッチ修復機能)欠損を有する結腸・直腸がん患者さん307人を対象とする臨床試験です。ペムブロリズマブ200mgを3週間ごとに投与するグループ(ペムブロリズマブ群)と、治験担当医が選択する化学療法(mFOLFOX6またはFOLFIRIをベバシズマブまたはセツキシマブと併用)のグループ(化学療法群)を比較して、無増悪生存期間、全生存期間、客観的奏効率、奏効期間などで評価されました。

 試験の結果、化学療法群と比較して、ペムブロリズマブ群では、病勢進行または死亡リスクが40%低下しました。客観的奏効率はペムブロリズマブ群が44%(完全奏効11%、部分奏効33%)、化学療法群が33%(完全奏効4%、部分奏効29%)でした。12か月以上の奏効期間が認められた患者さんは、ペムブロリズマブ群が75%、化学療法群が37%、24か月以上の奏効を達成したのは、ペムブロリズマブ群が43%、化学療法群が18%という結果でした。

 ペムブロリズマブの国内承認は以下の効能・効果です。

・悪性黒色腫
・切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
・再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫
・がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮がん
・がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)
・根治切除不能または転移性の腎細胞がん
・再発または遠隔転移を有する頭頸部がん
・がん化学療法後に増悪したPD-L1陽性の根治切除不能な進行・再発の食道扁平上皮がん

 乳がん、前立腺がん、胃がん、肝細胞がん、小細胞肺がん、子宮頸がん、進行性固形がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中です。

 同社は、今回の承認申請に関して次のように述べています。

 「MSDは、重点分野と位置付けるがん領域で患者さんと医療従事者のニーズに応えていけるよう、革新的な医薬品の開発を進め、承認取得に向けて取り組んでいきます」