米国で非小細胞肺がんの死亡率が急速に低下、治療法の進歩の恩恵

文:がん+編集部

 米国立衛生研究所(NIH)は8月12日、米国立がん研究所(NCI)の調査で、肺がんの中で最も多い割合を占める「非小細胞肺がん」について、死亡率は急速に低下する傾向にあることが明らかになったと発表しました。

死亡数は発生数より急速に低下、免疫チェックポイント阻害薬の使用が一因と推測

 喫煙を控えることが、肺がん発生低下に関与することは知られている一方、治療方法の進歩がどの程度生存率に影響しているかについての国単位の調査は行われていませんでした。また、最近の10年間で、非小細胞肺がんにおいては免疫チェックポイント阻害薬を用いた新治療法が利用可能になりましたが、小細胞肺がんは治療選択肢が限られたままです。

 研究グループは、米国の肺がんの76%を占める非小細胞肺がんと、13%を占める小細胞肺がんの両方のデータを調査。死亡記録では、非小細胞肺がんと小細胞肺がんを区別して記録されていませんが、NCIの「SEER」(Surveillance, Epidemiology, and End Results)と呼ばれるがん情報登録システムではこの2つの肺がんは区別して記録されており、研究グループはこの情報を基に死亡率、発生率に関する傾向を推定しました。

 その結果、近年、非小細胞肺がんによる死亡数は、その発生数よりも早いスピードで低下しており、死亡数の減少は生存期間の大幅な改善に関連していることがわかりました。一例として、男性の非小細胞肺がん患者さんで、死亡数は2006年から2013年まで毎年3.2%、2013年から2016年まで毎年6.3%ずつ減少。一方、発生数は2001年から2008年まで毎年1.9%、2008年から2016年まで毎年3.1%減少していました。

 研究グループはこの減少の理由として、免疫チェックポイント阻害薬を用いた治療の効果が挙げられるのではと推察しています。2012年、米国のNCCN(全米のがんのガイドライン策定組織)は、非小細胞肺がんのすべての患者さんに遺伝子検査を推奨。これにより、EGFR、ALKといったがん関連遺伝子の検査が増加しました。

 研究グループは、「非小細胞肺がんにおける免疫チェックポイント阻害薬による治療効果は、集団レベルで有意であることがわかりました。2016年以降も、生存率の改善傾向は続いていくと期待されます」と、述べています。