オプジーボ+ヤーボイ併用療法、悪性胸膜中皮腫の一次治療としての申請を欧州医薬品庁が受理

2020/10/09

文:がん+編集部

 悪性胸膜中皮腫に対する一次治療として、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+イピリムマブ(製品名:ヤーボイ)併用療法に関する申請を、欧州医薬品庁が受理しました。

CheckMate-743試験の結果、オプジーボ+とヤーボイ併用療法は化学療法に対し、死亡リスクを26%低下

 ブリストル マイヤーズスクイブ社は9月15日、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫患者さんの治療薬として、ニボルマブ+イピリムマブの併用療法の申請を欧州医薬品庁が受理したことを発表しました。今回の申請は、CheckMate-743試験のデータに基づくものです。

 CheckMate-743試験は、未治療の悪性胸膜中皮腫患者さん605人を対象に、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法を、化学療法(ペメトレキセドと、シスプラチンまたはカルボプラチン)と比較した多施設無作為化非盲検第3相臨床試験です。

 303人の患者さんに対し、ニボルマブ3mg/kgを2週間間隔、イピリムマブ1mg/kgを6週間間隔で投与し、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで最長24か月間継続されました。化学療法群の302人の患者さんは、ペメトレキセド500mg/m2と、シスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5を21日間1サイクルとして最大6サイクル、病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで投与されました。主要評価項目は全生存期間、副次評価項目は奏効率、病勢コントロール率および無増悪生存期間などでした。

 最短22か月の追跡調査の結果、全生存期間の中央値はニボルマブとイピリムマブ併用療法群18.1か月、化学療法群14.1か月で、死亡リスクが26%低下しました。また、2年生存率は、ニボルマブとイピリムマブ併用療法群41%、化学療法群27%でした。安全性に関しては、これまでに認められている安全性プロファイルと一致していました。

 同社の腫瘍臨床開発担当、バイスプレジデントである Sabine Maier医師は、次のように述べています。

 「悪性胸膜中皮腫は特に悪性度が高く治療が困難であることが立証されており、生存期間を有意に延長する新たな治療選択肢は長年にわたり承認されていません。CheckMate-743試験は、オプジーボとヤーボイの併用療法がこの重大なアンメットニーズを満たす可能性を示しています。世界で中皮腫の発生数が多い欧州の患者さんにこの免疫療法薬による2剤併用療法をお届けできるように早急に欧州医薬品庁と協働してまいります」