EGFR陽性非小細胞肺がんに対し、抗体薬物複合体「U3-1402」を評価した第1相臨床試験の結果をESMOで発表

2020/10/15

文:がん+編集部

 EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な非小細胞肺がんに対し、抗体薬物複合体「U3-1402」の安全性と有効性を評価した第1相臨床試験の結果が発表されました。

奏効率25%、病勢コントロール率70%、奏効期間(中央値)7か月

 第一三共は9月18日、EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な非小細胞肺がん患者さんを対象とした第1相臨床試験で、HER3に対する抗体薬物複合体「U3-1402」の安全性と有効性に関する最新データを欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で報告したことを発表しました。

 今回発表された第1相臨床試験の対象患者さん57人(評価対象は56人)は4つの前治療歴がり、全患者さんがEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(86%がオシメルチニブの投与経験あり)による治療を受けていました。その他の前治療歴は、化学療法が90%、免疫チェックポイント阻害薬(PD-1/PD-L1)が40%などでした。

発表された予備的安全性と有効性は、以下の通りです。

予備的安全性
グレード3以上の主な有害事象:血小板数減少(28%)、好中球数減少(19%)
治療に関連した間質性肺炎:5%
予備的有効性
客観的奏効率:25%(完全奏効1人、部分奏効13人)、確定前の部分奏効3人
病勢コントロール率:70%
奏効期間(中央値):7か月

 同社は今回の試験結果に基づき、次のように述べています。

「当社は、本剤のEGFR変異を有する切除不能な非小細胞肺がん患者を対象としたグローバル第2相臨床試験を計画しており、本剤の開発を更に推進してまいります」