オプジーボ+化学療法併用、胃がん/食道がんに対する治験で全生存期間および無増悪生存期間を改善

2020/10/20

文:がん+編集部

 胃がんおよび食道がんの一次治療として、ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+化学療法の併用療法を評価した臨床試験で、化学療法と比較して、全生存期間および無増悪生存期間の有意な改善が認められました。

CheckMate-649試験で、オプジーボ+化学療法併用は、化学療法と比較して死亡リスクを29%低下

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は9月21日、切除不能な進行または転移性胃がん、胃食道接合部がん、または食道腺がん患者さんの一次治療として、ニボルマブ+化学療法の併用療法を評価した第3相CheckMate-649試験の結果を発表しました。併用療法は、化学療法と比較して全生存期間および無増悪生存期間を統計学的有意にかつ臨床的に意義のある改善を示しました。

 CheckMate-649試験は、未治療のHER2陰性の進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんまたは食道腺がんの患者さんを対象に、ニボルマブ+化学療法の併用療法、または、ニボルマブ+イピリムマブ(製品名:ヤーボイ)の併用療法を、化学療法と比較した臨床試験です。

 主要評価項目は、ニボルマブ+化学療法の併用療法を受けたCPS5以上のPD-L1陽性患者さんに対する全生存期間と無増悪生存期間。副次的評価項目は、ニボルマブ+化学療法併用療法を受けたCPS1以上の患者さんと全患者さんにおける全生存期間と、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法を受けた患者さんにおける全生存期間と症状悪化までの期間です。

 解析の結果、全生存期間および無増悪生存期間のベネフィットは、ニボルマブ+化学療法を受けたCPS5以上のPD-L1陽性患者さんで認められ、本試験の主要評価項目を両方とも達成しました。また、化学療法と比較して、死亡リスクを29%、病勢進行または死亡リスクを32%低下させました。全生存期間のベネフィットは、全無作為化集団においても認められました。

 ヨハネス・グーテンベルク大学マインツ メディカルセンター、消化器腫瘍科教授のMarkus Moehler医師は、次のように述べています。

 「HER2陽性以外の進行または転移性胃がんまたは胃食道接合部がん患者さんに対する現在のファーストラインの標準治療は、化学療法です。化学療法は、これらの患者さんにとって重要な治療選択肢ではあるものの、化学療法単独による生存ベネフィットは限られており、投与開始から1年未満である場合も少なくありません。進行または転移性上部消化管がんのファーストライン治療に対しては、現在承認された免疫療法薬がなく、世界中のこれらの患者さんが画期的な治療法を早急に必要としています」

試験の結果は、以下の通りです。

CPS5以上のPD-L1陽性患者さんの全生存期間(中央値)
ニボルマブ+化学療法:14.4か月
化学療法:11.1か月

CPS5以上のPD-L1陽性患者さんの無増悪生存期間(中央値)
ニボルマブ+化学療法:7.7か月
化学療法:6.0か月

全患者さんの全生存期間(中央値)
ニボルマブ+化学療法:13.8か月
化学療法:11.6か月

CPS1以上のPD-L1陽性患者さんの全生存期間(中央値)
ニボルマブ+化学療法:14.0か月
化学療法:11.3か月

グレードを問わない有害事象発現率
ニボルマブ+化学療法:22%
化学療法:12%

グレード3~4の有害事象発現率
ニボルマブ+化学療法:17%
化学療法:10%

グレードを問わない投与中止につながる有害事象発現率
ニボルマブ+化学療法:36%
化学療法:24%

グレード3~4の投与中止につながる有害事象発現率
ニボルマブ+化学療法:17%
化学療法:9%

※:CPS(combined positive score): PD-L1陽性細胞数を総腫瘍細胞数で割り、100を掛けた数値