オプジーボ+カボメティクス併用療法、進行腎細胞がんの治験で全生存期間を含むすべての有効性評価項目で有意な結果

2020/10/22

文:がん+編集部

 ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+カボザンチニブ(製品名:カボメティクス)併用療法、進行腎細胞がん患者さんを対象としたCheckMate-9ER試験で有意な生存ベネフィットが示されました。

CheckMate-9ER試験で、オプジーボ+カボメティクス併用療法は死亡リスクを40%低減

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は9月19日、未治療の進行腎細胞がん患者さんを対象としたCheckMate-9ER試験の結果を初めて公表したことを発表しました。

 CheckMate-9ER試験は、未治療の進行または転移性腎細胞がん患者さん651人を対象に、ニボルマブ+カボザンチニブ併用療法と、スニチニブ(製品名:スーテント)を比較した第3相臨床試験です。対象となった患者さんの内訳は、低リスク23%、中リスク58%、高リスク20%、PD-L1発現レベル(1%以上)25%で、ニボルマブ+カボザンチニブ併用療法群に323人、スニチニブ群に328人が無作為に組み入れられました。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間および奏効率などでした。

 解析の結果、スニチニブに対し、ニボルマブ+カボザンチニブ併用療法は、死亡リスクを40%低減しました。無増悪生存期間(中央値)を2倍延長し、奏効率も2倍という結果を示しました。また、完全奏効率は併用療法群8%、スニチニブ群5%でした。奏効期間(中央値)は、スニチニブ群11.5か月に対し、併用療法群20.2か月でした。

 安全性に関して、グレードを問わない有害事象発現率は、併用療法群97%、スニチニブ群93%。グレード3以上の有害事象発現率は、併用療法群61%、スニチニブ51%でした。治療に関連する投与中止の割合は併用療法で低くなりました(ニボルマブ単剤療法6%、カボザンチニブ単剤療法7%、併用療法群3%、スニチニブ群9%)。

 ダナ・ファーバーがん研究所の泌尿生殖器腫瘍ランクセンター長で、ハーバード大学医学大学院Jerome and Nancy KohlbergのToni Choueiri医学教授は、次のように述べています。

 「転移性腎細胞がんの治療はかなり進展していますが、より多くの患者さんが肯定的なアウトカムを得られるよう、新しい治療選択肢の研究を続けていく必要があります。CheckMate-9ER 試験のデータでは、ニボルマブとカボザンチニブの併用療法による意義のある有効性ベネフィットが示されました。この併用療法は、全生存期間を有意に改善するとともに、無増悪生存期間および奏効率を2倍に改善し、あらかじめ設定された全てのサブグループで一貫した効果が認められました。良好な忍容性プロファイルおよび健康に関連する生活の質の良好な改善と共に、これらの結果は、免疫療法薬とチロシンキナーゼ阻害剤の併用療法における潜在的な重要性を示しています」