非小細胞肺がんと小細胞肺がんに対し、イミフィンジを評価した2つの臨床試験の結果をESMOで発表

文:がん+編集部

 非小細胞肺がんと小細胞肺がんを対象に、デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)を評価した2つの臨床試験の結果が欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会で発表されました。

イミフィンジ、切除不能なステージ3非小細胞肺がんに対するPACIFIC試験で顕著な生存率を示す

 アストラゼネカは9月18日、デュルバルマブを評価した2つの臨床試験、ステージ3の非小細胞肺がんに対するPACIFIC試験と、進展型小細胞肺がんに対するCASPIAN試験の結果をESMOで報告したことを発表しました。

 PACIFIC試験は、PD-L1の状態にかかわらず、白金製剤を用いた同時化学放射線療法後に増悪が認められなかった切除不能局所進行のステージ3の非小細胞肺がん患者さん713人を対象に、デュルバルマブかプラセボを投与、比較した第3相臨床試験です。主要評価項目は無増悪生存期間および全生存期間、副次評価項目は特定時点での無増悪生存期間、全生存期間、客観的奏効率、奏効期間でした。

 最新の解析結果では、4年生存率の推定値は、デュルバルマブ49.6%、プラセボ36.3%。全生存期間の中央値は、デュルバルマブ47.5か月、プラセボ29.1か月でした。また、最長1年間の治療を受けた患者さんの試験開始から4年間がんが進行しなかった割合は、デュルバルマブ35.3%、プラセボ19.5%でした。

 20%以上で認められた主な有害事象は、咳嗽、倦怠感、呼吸困難、放射線肺臓炎。グレード3または4の有害事象の発現率は、デュルバルマブ30.5%、プラセボ26.1%、有害事象により治療を中止した割合は、デュルバルマブ15.4%、プラセボ9.8%でした。

 PACIFIC試験の治験責任医師であり、マンチェスター大学教授でChristie NHS Foundation TrustのCorinne Faivre-Finn氏は、次のように述べています。

 「これまで切除不能なステージ3の非小細胞肺がん患者さんの5年生存率はわずか15~30%であり、その患者さんの多くが最終的には進行し転移していました。今回のデータでは、イミフィンジを投与された患者さんの約半数が4年を経過した時点においても生存しており、加えて35%の患者さんに病勢進行が認められませんでした。これらの結果は、根治を目的とした切除不能なステージ3の非小細胞肺がん治療における著しい進歩といえます」

 もう1つの試験、CASPIAN試験は、進展型小細胞肺がん患者さん805人を対象に、一次治療としてデュルバルマブ+化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)併用療法と、デュルバルマブ+化学療法に免疫チェックポイント阻害薬のトレメリムマブを追加した併用療法を、化学療法単独と比較した第3相臨床試験です。主要評価項目は全生存期間でした。

 デュルバルマブ+化学療法の併用療法は、2019年6月の中間解析において化学療法に比べて全生存期間の延長を示し、主要評価項目の1つを達成しました。デュルバルマブ+化学療法+トレメリムマブ併用療法は、2020年3月の解析で主要評価項目(全生存期間)を達成しませんでした。

 CASPIAN試験の結果について詳しく解析(サブグループ解析)をしたところ、1年以上病勢進行がなかった患者さんの割合が、デュルバルマブ+化学療法併用は化学療法と比べて3倍以上の差があったことがわかりました。また、1年経過時点で病勢進行が認められなかった患者さんのうち75%が2年経過時点で生存。1年未満で病勢進行が認められた患者さんの2年時点での生存割合は10%でした。

 また、デュルバルマブの曝露量が多い患者さんでは、免疫介在性の有害事象の発現率が高いものの、重度の有害事象や投与中止に至った有害事象の発現率は曝露量にかかわらず同程度でした。