リムパーザ+アバスチン併用療法、HRD陽性進行卵巣がんの維持療法としてEUが承認勧告

文:がん+編集部

 オラパリブ(製品名:リムパーザ)+ベバシズマブ(製品名:アバスチン)併用療法が、相同組換え修復機能欠損(HRD)陽性の進行卵巣がん患者さんに対する初回治療後の維持療法としてEUが承認勧告しました。

リムパーザ+アバスチン併用療法、アバスチン単独療法に比べ病勢進行または死亡リスクを67%低下

 英アストラゼネカ社と米メルク社は9月21日、オラパリブ+ベバシズマブ併用療法が、HRD陽性の進行卵巣がん患者さんの維持療法として、EUから製造販売承認の勧告を受けたことを発表しました。今回の欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)による肯定的見解は、第3相PAOLA-1試験のバイオマーカーによるサブグループ解析に基づくものです。

 PAOLA-1試験は、ステージ3~4期の高異型度漿液性または類内膜卵巣がん、卵管がんまたは腹膜がんと新たに診断され、化学療法(白金製剤ベース)+ベバシズマブ併用療法の初回治療により完全または部分奏効を示した患者さんを対象とした臨床試験です。

 バイオマーカーによるサブグループ解析の結果、HRD陽性の進行卵巣がん患者さんにおいて、オラパリブ+ベバシズマブ併用療法の無増悪生存期間(中央値)が37.2か月に対し、ベバシズマブ単独療法は17.7か月で、病勢進行または死亡リスクが67%低下しました。

 2020年欧州臨床腫瘍学会で発表された最新データでは、二次進行までの期間が、オラパリブ+ベバシズマブ併用療法50.3か月、ベバシズマブ単独療法35.3か月で、統計学的に有意な延長が認められました。この結果から、オラパリブ+ベバシズマブ併用療法は、一次進行以降も有益であることが示されました。

 アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselga氏は次のように述べています。

 「進行卵巣がんと新たに診断された患者さんの半数はHRD陽性の腫瘍を有しています。ベバシズマブとリムパーザの併用療法により無増悪生存期間の中央値が3年を超えることが示され、患者さんに新たな希望をもたらしました。今回の承認勧告は、重大なアンメットニーズに取り組むための大きな一歩であり、この重篤な疾患の再発を遅らせる新たな治療選択肢をもたらす可能性があります」

 また、MSD研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でのRoy Baynes氏は次のように述べています。

 「HRDは、この悪性度が高い進行卵巣がんに対して、欧米の医師がどのような治療をすべきか判断する際に重要となるバイオマーカーです。今回の勧告とPAOLA-1試験のデータは、進行卵巣がんの患者さんに対する最適な治療方針を決定するにあたり診断時のHRD検査がいかに重要であるかを強調するものです」