がん免疫療法の新規共通抗原の発見に向け、ベーリンガーとEnara Bio社が提携

文:がん+編集部

 ベーリンガーインゲルハイムとEnara Bio社が、がん免疫療法の新規共通抗原の発見に向け、戦略的提携およびライセンス契約を締結したことを発表しました。

肺がんや消化管がん領域で最大3種類のがんの新規Dark Antigenの発見を目指す

 ベーリンガーインゲルハイムは1月12日、治療困難な肺がんや消化管がんに対する新たな治療法の開発を目指し、Enara Bio社と「Dark Antigen創薬プラットフォーム」を活用する戦略的提携およびライセンス契約を締結したことを発表しました。

 ヒトゲノムには、ゲノムの「ダークマター」と呼ばれる、通常はタンパク質を通常はタンパク質をつくる”もと”とならない部分があります。ゲノムのダークマターは、がん細胞で特別な指令が入ると、タンパク質をつくる”もと”となります。このタンパク質は、Dark Antigenと呼ばれ、これまで自分の体内に抗原として存在しなかったタンパク質なので、免疫系が認識できる新しいがん関連抗原となります。Dark Antigenは、特定のがんで、患者さんに共通して見られることがわかってきました。そのため、新しい免疫療法の標的となる可能性があります。

 今回の提携では、Enara Bio社のDark Antigen創薬プラットフォームを、肺がんや消化管がん領域で最大3種類のがんの新規Dark Antigenを発見し、検証するために使用します。

 ベーリンガーインゲルハイムのシニアバイスプレジデント兼がん免疫および免疫制御部門グローバルヘッドのJonathon Sedgwick医学博士は、次のように述べています。

 「このたび、革新的な治療薬をがん患者さんに提供するという我々の使命の一環として、Enara Bio社と協力することができ、たいへん嬉しく思います。私たちはがんとの闘いに挑むため、がん細胞を直接標的とする独自の治療法のパイプライン、がん免疫療法、理論的な併用アプローチを進めています。Enara Bio社独自の創薬プラットフォームは、高度に差別化された新たなアプローチをもたらします。これにより、既知のプロテオムを超えたDark Antigenの識別、特性化が可能となり、T細胞受容体(TCR)指向性免疫療法や治療ワクチンの開発を支えることができます。これは、がん免疫療法の新たな波に向けた非常に革新的で有望な開発アプローチだと考えています」

 また、Enara Bio社の社長兼CEO、Kevin Pojasek氏は、次のように述べています。

 「当社の先駆的なDark Antigenの発見・検証能力を活かした初の大規模案件である、この戦略的ライセンス契約を締結することができ、たいへん嬉しく思います。ベーリンガーインゲルハイムは、特にがんに注目して画期的な治療薬の製造に取り組むイノベーション主導の企業です。新しいがん免疫療法の標的の重要なソースになるというDark Antigenの可能性に関して、同社と良好な協力関係を築き、同じ見解を共有していけることを喜ばしく思います。この契約は、ゲノムのダークマターに由来するがん関連抗原を活用する当社のサイエンスとアプローチの検証を進めるものであり、今後の生産的な提携に大いに期待しています」