非小細胞肺がん、手術前の筋肉量と持久力低下が、中長期的な死亡リスクを高める

文:がん+編集部

 非小細胞肺がん患者さんの手術前の筋肉量と持久力の低下は、それぞれ中長期的な死亡リスクを高め、その両方がある患者さんでは特に死亡率が高いことが明らかになりました。

サルコペニアと運動耐容能力が低下した患者さんの死亡リスクは3.38倍高い

 名古屋大学は3月8日、非小細胞肺がん患者さんでは、手術前のサルコペニアおよび運動耐容能(持久力)と生命予後との関係を明らかにしたことを発表しました。同大大学院医学系研究科呼吸器外科学の芳川豊史教授、同大医学部附属病院呼吸器外科の尾関直樹病院講師、リハビリテーション科の西田佳弘病院教授、リハビリテーション部の田中伸弥療法士らの研究グループによるものです。

 研究グループは、手術を予定している非小細胞肺がん患者さん587人を対象に、術前の身体機能評価としてサルコペニアと運動耐容能力低下の有無を調査。サルコペニアのみと判定された患者さんは26%、運動耐容能低下のみの患者さんが9%、両方の状態を持つと判定されたのは7%でした。また、術後に追跡調査(平均追跡期間18.5か月)の期間中に109人の患者さんが死亡していました。

 解析の結果、サルコペニアも運動耐容能力低下のどちらも認めない患者さんと比較して、サルコペニアのみの患者さんで1.78倍、運動耐容能力低下のみの患者さんで2.26倍、両方を持つ患者さんは3.38倍、死亡リスクが高いことがわかりました。また、従来の予測因子(年齢、性別、喫煙歴、がんの進行度、呼吸機能など)のみからの死亡リスクと比較して、サルコペニアと運動耐容能の情報を追加して予測することで、術後2年以降の死亡予測に有用である可能性が示唆されました。

 研究グループは今後の展開として、次のように述べています。

 「今回、研究グループは、非小細胞肺がん患者において、術前のサルコペニアと運動耐容能低下を持っていることが中長期的な死亡リスクを高めることを明らかにしました。本研究により、従来の医学的な評価に加えて術前の身体機能を総合的に評価することは、患者の術後経過の予測に重要であることが分かりました。これは、術前のリスク層別化や、各患者に適した治療法の選択に役立つことが考えられます。今後、これらの患者に対して、どのような介入を行うべきか、介入を行うことで死亡率が低下するかを明らかにする研究へと発展することが期待されます」