シスプラチンの効果予測を可能にする血液マーカーを確立

文:がん+編集部

 白金製剤シスプラチンの効果を予測する血液マーカーが確立されました。

シスプラチンの効果が高いがん患者さんを予測できる可能性

 新潟大学は3月18日、APM2というタンパク質がシスプラチンに抵抗して腫瘍増殖を促進するメカニズムと、血液中のAPM2の濃度がシスプラチンの抗腫瘍効果予測に有用であることを明らかにしたと発表しました。同大医学部医学科総合診療学講座の上村顕也特任教授、医歯学総合病院魚沼地域医療教育センターの須田剛士特任教授、大学院医歯学総合研究科新領域開拓研究センターバイオインフォマティクス分野の奥田修二郎准教授、同研究科消化器内科学分野の青栁豊名誉教授、同研究科消化器・一般外科学分野の若井俊文教授、同研究科消化器内科学分野の寺井崇二教授らの研究グループによるものです。

 研究グループは、APM2を発現させた培養細胞を作製し、シスプラチンを投与した状態で関連するタンパク質を含めて細胞増殖や遺伝⼦発現の分⼦機能解析を⾏いました。また、シスプラチンに対する効果が低かった肝臓がんの検体や背景肝組織を調べたところ、APM2の発現が上昇していたことがわかりました。

 シスプラチンの効果が認められた肝臓がんや胃がんの患者さんで、血液中のAPM2濃度が低くかったことからシスプラチンの効果予測に有用であることが示されました。

 シスプラチンは、さまざまながん種で有効性が認められている抗がん剤ですが、腎障害や血球減少などの副作用があるため、慎重な投与が求められます。研究グループが確立した血液マーカーにより、患者さんごとに最適な治療を選択するための指標になる可能性があります。

 研究グループは今後の展開として、次のように述べています。

 「⾎液中のAPM2濃度がシスプラチンの効果予測のマーカーとなりうることが明らかとなりました。この濃度を測定することで、シスプラチンの効果が⾼い腫瘍が予測でき、患者さんごとに最適な治療を選択する際に有⽤な情報となります。今後は、よりがん種の幅を広げた解析を⾏い、個別化医療の最適化に結び付けていきたいと思います」