肝臓がんの発症や遠隔転移のリスク判定に役立つ血液成分を発見

文:がん+編集部

 「LG2m」という血液中の成分が、肝臓がんの発症や転移リスクの指標になることが明らかになりました。

肝臓がん患者さんの血液中LG2mが高いと、遠隔転移のリスクが上昇

 金沢大学は4月9日、肝臓がんの発症や転移のリスクに関わる血液成分の同定に成功したことを発表しました。同大附属病院総合診療部の山下太郎准教授、医薬保健研究域医学系の金子周一教授、東京工業大学、東京大学、アボットジャパン合同会社総合研究の共同研究グループによるものです。

 日本では毎年約3万人の患者さんが肝臓がんで亡くなっています。C型肝炎ウイルスの根治が可能となった現在でも、ウイルス感染者は肝臓がんの発症リスクが高いままです。そのため、肝臓がんを診断する上で助けとなる新たな血液中の成分(血液マーカー)が求められています。

 研究グループはこれまでに、細胞の接着や生存に関わる生体膜の主要成分であるラミニンの中で、がん特異的に発現する「ラミニンγ2単鎖(LG2m)」に着目し、血液検査で微量のLG2mを測定できる手法の開発を行ってきました。

 今回、研究グループは肝臓がん患者さんの血液中のLG2mを測定し、LG2mが高い(60pg/ml以上)場合、低い(60pg/ml未満)患者さんと比べ、治療後に他臓器への遠隔転移が生じる危険が約8~20倍高いことを突き止めました。

 さらに研究グループは、C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎が治療によりウイルスが消失した患者さんと、肝臓がんではない患者さんの血液中のLG2mを測定し、LG2mが陽性(30pg/ml以上)の患者さんは、陰性(30pg/ml未満)の患者さんと比べ、肝臓がんを発症するリスクが約20倍高いことも明らかにしました。

 研究グループは、今回の発表について、次のように述べています。

 「今回の研究成果から、血液中の微量LG2mの存在は肝臓ががん化する過程、遠隔転移を起こす過程において生じる何らかの異常を反映している可能性が示唆されます。将来的にC型慢性肝炎患者さんにおける肝臓がん発症の予測因子や、肝臓がん患者における遠隔転移の予測因子として血液中のLG2m測定が活用されることが期待されます」