切除可能な非小細胞肺がんの術前補助療法として「オプジーボ+化学療法」を評価した治験で、完全奏効率を有意に改善

2021/04/27

文:がん+編集部

 切除可能な非小細胞肺がんの術前補助療法として、「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+化学療法」併用療法を評価した第3相試験の結果、完全奏効率の有意な改善が示されました。

オプジーボ追加治療、手術の実施可能性に影響せず

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は4月10日、「ニボルマブ+化学療法」併用療法(3サイクル)を評価したCheckMate-816試験の結果を発表しました。「ニボルマブ+化学療法」併用療法は、化学療法と比べ切除可能な非小細胞肺がん患者さんに対する術前補助療法として、完全奏効率の有意な改善が示されました。

 CheckMate-816試験は、切除可能なステージ1b~3aの非小細胞肺がん患者さんに対する術前補助療法として、「ニボルマブ+化学療法」併用療法と化学療法を比較した第3相臨床試験です。ニボルマブ360mgと化学療法(プラチナ製剤を含む2剤)による治療を3週間間隔で3回治療を受ける患者さんと、化学療法を3週間間隔で3回治療を受ける患者さんに無作為に分けられ、その後、手術が行われました。主要評価項目は完全奏効率および無イベント生存期間、主な副次的評価項目は全生存期間、MPR(残存するがん細胞の面積の、がん組織中に占める割合が10%以下)、死亡または遠隔転移までの期間などでした。

 試験の結果、「ニボルマブ+化学療法」併用療法の完全奏効率は24%、化学療法は2.2%でした。副次的評価項目のMPRでも改善が認められ、「ニボルマブ+化学療法」併用療法36.9%、化学療法8.9%と約4倍の患者さんがMPRを達成しました。また、「ニボルマブ+化学療法」併用療法による術前補助療法を受けた患者さんでは、化学療法を受けた患者さんより多く手術を受けており(83%/75%)、ニボルマブの追加が手術の実施可能性に影響しないことが示されました。

 安全性に関しては、新たな安全性シグナルは認められませんでした。グレード3~4の有害事象は、「ニボルマブ+化学療法」併用療法34%、化学療法37%で報告されましたが、有害事象による手術のキャンセルはまれで、影響を受けた患者さんは、それぞれ2人でした。

 キュリー研究所、腫瘍内科教授兼部門長のNicolas Girard医師は、次のように述べています。

 「がんの早期ステージにおける治療の最終的な目標は再発を防ぐことで、私たちはこれらの患者さんの完治を目指して取り組んでいます。残念なことに、切除可能な非小細胞肺がん患者さんの半数以上が術後に再発を経験し、大勢の方が亡くなっています。CheckMate-816試験の病理学的完全奏効のデータは、切除可能な非小細胞肺がんの術前補助療法として、ニボルマブと化学療法を併用する潜在的ベネフィットの初期の兆候を示しています。これらの有望な結果が、ひいては患者さんの無イベント生存期間や全生存期間の延長に結び付くことを期待しています」