非小細胞肺がんにかかわるCAFの活性化メカニズムを解明

文:がん+編集部

 非小細胞肺がんのがん関連線維芽細胞(CAF)に対し、遺伝子発現を網羅的に解析することで、細胞接着分子「インテグリンα11」がかかわるCAFの活性化メカニズムが解明されました。新たな治療法の開発につながることが期待されます。

がん間質を標的とした新たな治療法の開発につながる研究成果

 順天堂大学は4月28日、CAFとがん細胞が互いに連携することでがん間質にがん細胞を取り込み、積極的にがんの進展を促進させるという、非小細胞肺がんにおけるCAFの活性化メカニズムを解明したことを発表しました。同大大学院医学研究科呼吸器内科学の高橋和久教授、十合晋作准教授、岩井萌大学院生ら、および理化学研究所予防医療・診断技術開発プログラム林崎良英プログラムディレクター、伊藤昌可コーディネーター、川路英哉コーディネーターらの共同研究チームによるものです。

 研究チームは、がん間質中に集まるCAFの細胞などが生体内のある位置から別の位置に移動する「遊走能」について検討。その結果、がん間質から分離したCAFは、がん間質中の主要な構成タンパク質である「I型コラーゲン」や「フィブロネクチン」に向かう遊走能が活性化していることを発見しました。さらに、CAFに特異的な遊走能の活性化にかかわる機能制御因子を探ったところ、5つの新たな知見が得られました。

  • I型コラーゲンの受容体である「インテグリンα11」がCAFで高活性
  • タンパク質の発現レベルにおいてCAFで「インテグリンα11」の発現が増加
  • 「インテグリンα11」の発現と予後の悪化との相関性
  • CAFでCAFの特異的マーカー「コラーゲンタイプXIαI」の転写活性や発現が高い
  • サイトカインの「TGF-β1」はCAFの遊走能を刺激するだけではなく、「インテグリンα11」と「コラーゲンタイプXIαI」の発現を増加させ、肺がん細胞がCAFに向かって遊走

 以上のことから、CAFとがん細胞が互いに連携することでがん間質にがん細胞を取り込み、積極的にがんの進展を促進させるというメカニズムが明らかになり、「インテグリンα11 +/コラーゲンタイプXIαI + CAF」を標的とした新たな治療法が、がんの進展をより効果的に抑制する可能性が示されました。

 研究チームは今後の展開として、次のように述べています。

 「CAFは多様性を持っており、これまでに様々な特異的なマーカーが報告されています。本研究ではその中でもインテグリンα11 +/コラーゲンタイプXIαI + CAFの活性化が肺がんの進展に特に重要な役割を担っている可能性を明らかにしました。今回の発見は、がん間質に存在するCAFを標的とした従来の治療法とは異なる、新たな肺がん治療法への足掛かりとなる可能性があります。今後さらに研究を重ねることで、CAFの機能解明に関する研究は 肺がん死亡者数の減少を導くブレークスルーとなりうることが期待されます」