「エクソソーム」の形状分布、新たながん診断の指標になる可能性

文:がん+編集部

 血液や尿などの体液中に存在する「エクソソーム」の形状分布を調べることで、体内のがんを検出できる可能性が明らかになりました。

がん種によりエクソソームの形状や分布に違い、乳がんでは健常者との識別も

 九州大学は5月12日、体液中に存在するエクソソームと呼ばれる生体粒子の形状分布が、がん診断の新しい指標として使える可能性を発見したと発表しました。同大先導物質化学研究所の龍崎奏助教、玉田薫教授、名古屋大学大学院工学研究科生命分子工学専攻の安井隆雄准教授、馬場嘉信教授、大阪大学産業科学研究所の筒井真楠准教授、谷口正輝教授、川合知二招聘教授、東京医科大学医学総合研究所の落谷孝広教授らの共同研究グループによるものです。

 エクソソームとは、細胞から分泌される直径100nmほどの粒子です。電子顕微鏡によって、さまざまな形をしたエクソソームが観察されてきましたが、体液中に分散しているエクソソームの形状を計測する技術はこれまでありませんでした。

 研究グループは、独自に開発してきた1粒子の形状を解析できる技術「ナノポアデバイス」を用いて、肝臓がん細胞、乳がん細胞、大腸がん細胞、乳腺細胞由来のエクソソームの形状分布を計測することに成功しました。

 さらに、その形状分布がそれぞれ異なっていることも発見しました。例えば、肝臓がん細胞由来のエクソソームは、球状粒子とラグビーボールのような楕円球状の粒子が混在していましたが、乳がん細胞由来のエクソソームは球状粒子のみでした。また、乳がん患者さんと健常者の血中エクソソームを比較したところ、異なった形状分布をしており、今回の実験では乳がん患者と健常者の識別が可能だったとしています。

 研究グループは、次のように述べています。

 「今後、さらにさまざまなエクソソームを計測する必要がありますが、本研究により、体液中エクソソームの形状分布を調べることで体内のがんを検出し、さらにそのがんの種類も特定できる可能性が示唆されました。今回の結果は、物理学や医学などさまざまな分野の先生との共同研究により得られた研究成果。今後も多角的な視点をもって、簡単にがんを見つけられる検査技術の確立に取り組んでいきます」