高リスクの早期トリプルネガティブ乳がんを対象としたKEYNOTE-522試験で、無イベント生存期間を達成

2021/06/15

文:がん+編集部

 高リスクの早期トリプルネガティブ乳がん患者さんを対象に、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)を評価した第3相KEYNOTE-522試験で、2つの主要評価項目のうち無イベント生存期間が達成されました。

キイトルーダ、トリプルネガティブ乳がんに対する術前・術後補助療法として無イベント生存期間を改善した初の抗PD-1抗体

 米メルク社は5月13日、高リスクの早期トリプルネガティブ乳がんを対象に、ペムブロリズマブを評価した第3相KEYNOTE-522試験の結果を発表しました。

 KEYNOTE-522試験は、トリプルネガティブ乳がん患者さん1,174人を対象に、ペムブロリズマブと化学療法を比較した第3相臨床試験です。比較された治療法は、以下の通りです。

ペムブロリズマブが投与されたグループ
術前補助療法として
「ペムブロリズマブ+化学療法(パクリタキセルおよびカルボプラチン)」を投与(4サイクル)後、「ペムブロリズマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシンまたはエピルビシン」4サイクルを投与(4サイクル)
術後補助療法として
ペムブロリズマブを投与(9サイクル)

プラセボが投与されたグループ
術前補助療法として
「プラセボ+化学療法(パクリタキセルおよびカルボプラチン)」を投与(4サイクル)後、「プラセボ+シクロホスファミド+ドキソルビシンまたはエピルビシン」を投与(4サイクル)
術後補助療法として
プラセボを投与(9サイクル)

 主要評価項目は病理学的完全奏効率と無イベント生存期間、副次的評価項目は根治的手術時の病理学的完全奏効率、全生存期間、PD-L1発現患者さんの無イベント生存期間、安全性、患者報告アウトカムでした。

 解析の結果、主要評価項目の1つである無イベント生存期間で、統計学的有意にかつ臨床的に意義のある改善が認められました。安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一貫しており新たな安全性シグナルは確認されませんでした。

 同社研究開発本部シニアバイスプレジデント、グローバル臨床開発責任者でチーフメディカルオフィサーのRoy Baynes博士は、次のように述べています。

 「キイトルーダは免疫療法として初めて、進行が特に速い乳がんであるトリプルネガティブ乳がんの高リスク早期患者さんにおける無イベント生存期間の良好な結果が認められました。試験の初期データで、術前療法後の病理学的完全奏効率の改善が認められ、このたび、4年が経過してデータが成熟し、無イベント生存期間も統計学的有意に改善したため、当社はこの新たな治療オプションを患者さんに一日も早く提供できるよう、米国食品医薬品局をはじめ世界の規制当局と協業してまいります。試験に参加してくださる患者さんがあってはじめて当社はトリプルネガティブ乳がん患者さんに対するさらなる治療の選択肢の開発を進めることができ、参加してくださった患者さんに感謝しています」