膵臓がんを高精度に検出できるAIを開発

文:がん+編集部

 膵臓がんを高精度に検出する人工知能が開発されました。病理医による検証の結果、十分な妥当性もあることも証明されました。

膵臓がんの検出率、感度93%/特異度97%と極めて高い結果

 久留米大学は6月3日、超音波内視鏡下穿刺吸引生検病理組織標本における膵腺がんを検出する人工知能の開発に成功したことを発表しました。同大医学部病理学講座の矢野博久教授、大学病院病理部の秋葉純教授、内藤嘉紀准教授らを中心とする研究グループ、全国の膵臓病理専門医が在籍する医療機関とメドメイン株式会社との共同開発です。

 膵臓がんは症状が出たときにはすでに進行していることがあるため、膵臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、国内の膵臓がんの罹患率・死亡率はともに増加しています。

 超音波内視鏡下穿刺吸引は、胃や十二指腸などの消化管から超音波内視鏡で粘膜下や壁外の病変、あるいは胸腹部や骨盤内の腫瘤を観察し、消化管内から針を刺して細胞を採取する方法です。2010年に保険適用となり、国内でも普及し始め、現在は膵臓がん診断の主流になりつつあります。しかし、同法で採取された細胞組織断片は微小のため、病理診断が困難なことがあります。

 今回、共同研究グループは、超音波内視鏡下穿刺吸引の生検標本を解析する人工知能を開発し、その精度の検証が行われました。その結果、膵腺がんの検出の判定能力が高く(ROC-AUC※:0.98)、正解率94%、感度93%、特異度97%という、極めて精度の高い結果が得られました。また、病理医による検証の結果、十分な妥当性もあることが証明されました。

 研究グループは、次のように述べています。

 「今後この成果を活用した膵臓がん検出のシステム構築が進むことが期待され、さまざまな形の人工知能が病理診断をサポートできるシステムが構築されていくことで、患者さんへの適切な診療提供の基礎となる病理診断精度が安定することが期待されます」

※ROC-AUC:検査や診断薬の判別性能を示す値で、値が1に近いほど判別能が高いことを示す。