口腔がん、発生した部位により生存率に差

文:がん+編集部

 舌と下あごに囲まれた馬蹄型の部位にできる口腔がんの一種「口底がん」では、口腔の前側にできる「前方型」は、奥にできる「後方型」より全生存率が低く、その原因は「重複がん」と「たばこ関連疾患」であることが明らかになりました。

前方型口底がん、男性に多く喫煙率やリンパ節転移・重複がんの割合も高い

 東京医科歯科大学は7月1日、口底がんの発生部位に関する比較研究の結果を発表しました。同大大学院医歯学総合研究科顎口腔外科学分野の原田浩之教授と及川悠特任助教らと、同研究科口腔病理学分野の池田通教授との共同研究によるものです。

 口腔がんの発生頻度は全がんの約1~2%で、その罹患数は年間約1万2,000人と推定され、増加傾向にあります。口腔がん全体のうち口底部(舌と下あごに囲まれた馬蹄形の部分)に発生する口底がんは約10%に過ぎず、その発生率の低さからこれまで口底がんに関する報告は限られており、治療成績向上につながる特徴については不明のままでした。

 研究グループは口底の解剖学的な特徴から、前方型口底がんと後方型口底がんに分類して解析。今回は、腫瘍の位置が、両側の犬歯とその隣にある奥田のあたりを境界線とし、それより前か後ろかによって「前方型」と「後方型」に分類しました。

 その結果、前方型口底がんは男性の割合(96.9%)が高く、喫煙量も前方型が有意に高いことがわかりました。また、前方型口底がんは頸部リンパ節に転移していることと、重複がんの割合が高いことが明らかになりました。

 また、全生存率を比較すると、前方型口底がん65.4%、後方型口底がん95.0%と前方型口底がんの生存率が有意に低い結果でした。さらに前方型口底がんの死因を検証すると、重複がんおよび循環器疾患や肺疾患などのたばこ関連疾患であることがわかりました。

 研究グループは、次のように述べています。

 「治療成績向上のためには、循環器疾患や肺疾患を含むたばこ関連疾患の予防のため、早期の禁煙指導が重要です。重複がんは他臓器に発生するため、口腔領域のみならず、消化管内視鏡検査やPET/CTなどの検査を定期的に実施することで、他がんの早期発見・早期治療が可能となり、治療成績の向上につながると考えられます」

※重複がんとは、複数の臓器や器官に同時性または異時性に発生した原発性のがんのことです。