身近なアミノ酸が、がん放射線治療の副作用軽減に役立つ可能性

文:がん+編集部

 身近な複数のアミノ酸に「放射線保護効果」が認められ、がん放射線治療の副作用軽減に役立つ可能性が明らかになりました。

放射線治療の保護剤となる新たな候補のアミノ酸を発見

 名古屋大学は7月5日、放射線治療の一種である「重粒子線治療」で起こる副作用「唾液低下」軽減に効果的なアミノ酸がないか、代表的な5種類のアミノ酸がもつ保護効果の違いを調べた結果を発表しました。同大大学院医学系研究科総合保健学専攻の余語克紀助教らの研究グループによるものです。

 重粒子線治療は、頭頸部がんなどに集中して高い線量を照射できるがん治療法です。しかし、唾液が出にくくなるなど、つらい副作用が生じることがあります。現在までに、マウスによる実験で「D体メチオニン」というアミノ酸を飲ませると、この副作用が軽減されることがわかっていましたが、それ以外のアミノ酸の効果は不明です。

 今回研究グループは、D体メチオニン以外に、重粒子線治療の副作用軽減効果が期待できるアミノ酸がないか調べました。重粒子線の照射で生じたDNA損傷を専門的な手法で確認し、代表的な5種類のアミノ酸がもつ保護効果の違いを調べた結果、「システイン」と「トリプトファン」というアミノ酸が、メチオニンと同等かそれ以上の効果を示し、有望な放射線保護剤の候補と考えられることがわかりました。

 研究グループは成果の意義として。次のように述べています。

 「この研究成果は、アミノ酸の作用機序の解明に貢献し、辛い副作用を軽減する安全ながん放射線治療用薬剤の開発に寄与すると期待されます。また、身近で安全なアミノ酸を、広くがん放射線治療の副作用の軽減に適用できる可能性を示すことができたため、さらなる応用が期待されます」