免疫チェックポイント阻害薬に対する治療抵抗性の克服に動物実験で成功

文:がん+編集部

 免疫チェックポイント阻害薬に対する治療抵抗性の克服に動物実験で成功。抗PD-1抗体抵抗性を示すがんに対する治療法として期待されます。

ナノ粒子と抗PD-1抗体を併用する「複合がん免疫療法」に期待

 北海道大学は7月9日、免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体に抵抗性を示すメラノーマ肺転移モデルマウスに対し、抗PD-1抗体とがん免疫を活性化させるナノ粒子を併用することで治療抵抗性の改善と相乗的な抗腫瘍活性を誘導することに成功したことを発表しました。同大学大学院薬学研究院の中村孝司助教、同生命科学院修士課程の佐藤孝紀氏、同薬学研究院の原島秀吉教授らの研究グループによるものです。

 免疫チェックポイント阻害薬が有効な患者さんは、20~30%程度と限られているため、有効性を向上させるさまざまな治療法の開発が進められています。免疫チェックポイント阻害薬に抵抗性を示す多くのがんでは、がんを攻撃する免疫応答が不十分です。

 研究グループは、がん免疫を効率的に活性化するナノ粒子を開発。このナノ粒子と抗PD-1抗体を併用する「複合がん免疫療法」の有効性を検証するためマウスによる実験を行いました。マウスメラノーマ肺転移モデルに、抗PD-1抗体を投与したところ全く治療効果を示しませんでしたが、ナノ粒子と抗PD-1抗体を併用することで相乗的な効果が発揮され、がん細胞の増殖が抑制することが確認されました。

 本研究は、ナノ粒子と抗PD-1抗体を併用する複合がん免疫療法として、免疫チェックポイント阻害薬に抵抗性を示すがんに対する治療法として期待されます。

 研究グループは今後への期待として、次のように述べています。

 「本研究成果は、キラーT細胞からの攻撃回避機構により抗PD-1抗体に対する治療抵抗性を示すメラノーマ肺転移に対して、NK細胞の活性化を介した治療抵抗性の改善を、ナノ粒子を用いて実現した初めての成果です。現在、キラーT細胞からの攻撃回避による抗PD-1抗体への抵抗性獲得が問題となっており、本研究成果で得られた知見はこのようながんに対する複合がん免疫療法の開発に貢献できると期待されます」