統合失調症患者さんの大腸がん検診受診率、かかりつけ精神科の個別勧奨で上昇

文:がん+編集部

 統合失調症の患者さんに対し、かかりつけの精神科が個別に大腸がん検診の受診を勧めることで、市町村によるがん検診の案内と比べて、受診率が高くなることがわかりました。

大腸がん検診受診率、かかりつけ精神科が個別に勧奨47.1%、市町村からの案内のみ11.8%

 岡山大学は7月29日、かかりつけの精神科医療機関で行う個別のがん検診勧奨が、統合失調症患者さんの大腸がん検診受診率を向上させることを臨床試験で確認したことを発表しました。同大病院精神科神経科の藤原雅樹助教と山田了士教授らと、国立がん研究センター、島根大学らの共同研究グループによるものです。

 日本の地域住民全体のがん検診受診率は、いまだに低いことが問題になっています。がん検診受診率を高めるためには、がん検診受診率の低い人々に個別に対応していく必要があります。その中でも特に、精神障害がある患者さんはがん検診の受診率が低く、そのがん検診による恩恵を受けることができません。

 今回の研究では、精神科外来へ通院中の統合失調症の患者さんを、通院先の外来スタッフが大腸がん検診の説明や受診手続きを支援を実施した82人と、市町村からのがん検診の案内のみを受けた82人を比較することで、がん検診の勧奨による効果を検証する試験を行いました。

 実施した年度で大腸がん検診の受診率を比較したところ、市町村からの案内のみを受けたグループは11.8%に留まったのに対し、個別の勧奨を実施したグループでは47.1%となり、有意に大腸がん検診を受診する人が多くなることが示されました。

 同研究に携わった藤原助教は、次のように述べています。

 「国内の精神障害を有する患者さんのがん検診受診率を調べるところから研究をはじめて、今回、個別のがん検診勧奨法の効果を確認する研究まで進みました。実際に患者さんの健康増進につながるよう、勧奨法を普及する取り組みを引き続き進めたいと思います」