BTK阻害薬ベレキシブル、中枢神経系原発リンパ腫を対象とした第2相試験が米国で開始

2021/08/13

文:がん+編集部

 悪性リンパ腫の1つ中枢神経系原発リンパ腫を対象に、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬チラブルチニブ(製品名:ベレキシブル)を評価する第2相試験が米国で開始されました。

「再発または難治性の中枢神経系原発リンパ腫」の効能・効果で2020年に国内承認済

 小野薬品工業は7月19日、BTK阻害薬チラブルチニブを評価する第2相PROSPECT試験を米国で開始したことを発表しました。

 PROSPECT試験は、再発または難治性の中枢神系原発リンパ腫患者さんを対象に、チラブルチニブ単剤療法を評価する試験です。チラブルチニブ480mgを1日1回経口投与で、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続されます。主要評価項目は全奏効率、副次的評価項目は奏効期間、奏効までの期間、最良総合効果、有害事象、薬物動態などです。

 中枢神経系原発リンパ腫は、初発時に病変が脳や脊髄など中枢神経系に限局した悪性リンパ腫の1つです。中枢神経系原発リンパ腫の国内年間発症数は約980人と推定されています。現在、未治療の中枢神経系原発リンパ腫の患者さんに対する治療は、メトトレキサート療法をベースとした化学療法とその後の放射線による全脳照射が行われています。長期寛解に至る患者さんはいますが、多くは再発します。また、治療効果が得られない難治性となる患者さんもいます。

 チラブルチニブは、BTKを選択的に阻害する分子標的薬です。BTKは、細胞の表面から細胞の核内遺伝子へ増殖シグナルを伝達する酵素で、がん細胞の増殖と生存にかかわることが知られています。チラブルチニブは、このBTKと結合することでシグナル伝達を阻害し、がん細胞の増殖を抑制します。2020年3月に「再発または難治性の中枢神経系原発リンパ腫」の効能または効果で国内承認され、2020年8月には「原発性マクログロブリン血症およびリンパ形質細胞リンパ腫」の効能または効果の追加承認を取得しています。