特定の遺伝子変異のある患者さんと該当する臨床試験をつなぐプロジェクトが始動

文:がん+編集部

 治療の対象となる遺伝子変化が判明した肺がん患者さんまたは患者さんの近親者を対象に、遺伝子解析結果とその結果に関連する臨床試験の情報を電子メールで提供するプロジェクトが始動。特定の遺伝子変化が見つかり関連する臨床試験がある患者さんは、速やかに臨床試験に参加できる可能性があります。

遺伝子か解析結果と関連する臨床試験情報を電子メールで提供

 国立がん研究センターは8月6日、同センター東病院で、遺伝子解析結果とその結果に関連する臨床試験情報を患者さんへ直接提供するプロジェクトとして、「LC-SCRUM-Support(エルシー・スクラム・サポート)」を開始したことを発表しました。

 同センターは、2013年よりが全国の医療機関、製薬企業と協力して「LC-SCRUM-Japan」という遺伝子スクリーニング事業を行っていました。2019年より、その実施基盤を東アジアに拡大し、現在は「LC-SCRUM-Asia」として国際的な遺伝子スクリーニング事業を行っています。

 LC-SCRUM-Asiaには、2021年6月までに1万3,000を超える肺がんの患者さんが登録され、さまざまな分子標的薬や遺伝子診断薬の開発に貢献してきました。しかし、LC-SCRUM-Asiaで遺伝子変化が陽性と判明したにもかかわらず、対象となる臨床試験へ登録された患者さんの割合は約5%と、治療開発へまだ十分に生かされていない現状でした。

 今回新たに発表されたLC-SCRUM-Supportは、肺がんの遺伝子スクリーニングネットワークLC-SCRUM-Asiaの遺伝子解析によって、治療の対象となる遺伝子変化が判明した患者さんまたは患者さんの近親者を対象に、解析結果とその結果に関連する臨床試験の情報を電子メールで提供するものです。さらに、その遺伝子変化に関する臨床研究(試験)を実施する施設へも、対象候補となる患者さんが見つかったという内容が電子メールで通達される仕組みになっています。

 同プロジェクトにより、特定の遺伝子変化が見つかり関連する臨床試験がある患者さんは、速やかに臨床試験に参加できる可能性があり、また、患者さんの希望に沿って、適切な治療選択を検討できる可能性が期待されます。

 同センターは、次のように述べています。

 「LC-SCRUM-Supportを通じて肺がんの患者さんの治療をサポートし、治療・診断薬の開発並びに個別化医療の確立を推進することを目指します」と、しています。