キイトルーダと化学療法による術前術後治療、高リスク早期トリプルネガティブ乳がんの適応でFDAが承認

文:がん+編集部

 ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)と化学療法による術前術後治療が、高リスク早期トリプルネガティブ乳がんに対する適応で米国食品医薬品局(FDA)が承認しました。承認された治療法は、術前補助療法として「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法を行ったのち、術後補助療法としてペムブロリズマブによる単独療法を行うものです。

キイトルーダ、プラセボと比較して無イベント生存期間を有意に改善

 米MSDは7月27日、高リスク早期トリプルネガティブ乳がんに対する、ペムブロリズマブと化学療法を併用する術前術後治療の承認をFDAから取得したことを発表しました。承認された治療法は、術前補助療法として「ペムブロリズマブ+化学療法」を行った後、術後補助療法としてペムブロリズマブ単独療法を行うというものです。今回の承認は、KEYNOTE-522試験の結果に基づくものです。

 KEYNOTE-522試験は、治療歴のないステージ2~3の高リスクの早期トリプルネガティブ乳がんと診断された患者さん1,174人を対象に、ペムブロリズマブとプラセボを比較した第3相試験です。腫瘍径が1~2cmでリンパ節転移を伴う、またはリンパ節転移の有無にかかわらず腫瘍径が2cmを超える患者さんが試験に参加しましたが、PD-L1の発現は問いませんでした。主要評価項目は完全奏効率と無イベント生存期間でした。

 ペムブロリズマブによる治療を受けた患者さんには、「ペムブロリズマブ+化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)」併用療法後、「ペムブロリズマブ+ドキソルビシンまたはエピルビシン+シクロホスファミド」併用療法が術前に行われ、術後にペムブロリズマブ単独療法が行われました。プラセボの投与を受けた患者さんは、同様の化学療法にプラセボが併用されました。

 解析の結果、「ペムブロリズマブ+化学療法」は、「プラセボ+化学療法」に比べて、無イベント生存期間が有意に改善し、根治手術ができない疾患進行、局所再発・遠隔転移、新たながんの発生、原因を問わない死亡リスクが37%低下しました。

 ペムブロリズマブによる治療の安全性に関しては、以下の通りです。

重篤な有害事象:44%
有害事象によりペムブロリズマブによる治療を中止:20%
有害事象によりペムブロリズマブによる治療を中断:57%
死亡にいたった有害事象:0.9%
急性副腎不全、自己免疫性脳炎、肝炎、肺炎、肺臓炎、肺塞栓症、多臓器機能不全症候群、心筋梗塞に伴う敗血症が各1人
2%以上の患者さんに認められた重篤な有害事象
発熱性好中球減少症(15%)、発熱(3.7%)、貧血(2.6%)、好中球減少症(2.2%)
1%以上で最も高頻度に発現した、治療の完全な中止にいたった有害事象
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の上昇(2.7%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の上昇(1.5%)、皮疹(1%)
2%以上で最も高頻度で発現した、治療中断にいたった有害事象
好中球減少症(26%)、血小板減少症(6%)、ALT上昇(6%)、AST上昇(3.7%)、貧血(3.5%)、皮疹(3.2%)、発熱性好中球減少症(2.8%)、白血球減少症(2.8%)、上気道感染(2.6%)、発熱(2.2%)、疲労(2.1%)
全グレードの20%以上で最も高頻度で認められた有害事象
疲労(70%)、悪心(67%)、脱毛(61%)、皮疹(52%)、便秘(42%)、下痢(41%)、末梢神経障害(41%)、口内炎(34%)、嘔吐(31%)、頭痛(30%)、関節痛(29%)、発熱(28%)、咳(26%)、腹痛(24%)、食欲減退(23%)、不眠症(21%)、筋肉痛(20%)

 米国テキサス州ダラスにあるBaylor University Medical Center, Texas Oncology, U.S. Oncologyの乳がん研究部門責任者のJoyce O’Shaughnessy博士は、次のように述べています。

 「トリプルネガティブ乳がんは早期に診断されても30〜40%の患者さんが標準治療である術前補助療法と手術の後に再発します。このため、新たな治療の選択肢に対する高いアンメットニーズが存在します。本日の承認取得は非常に喜ばしいニュースであり、高リスク早期トリプルネガティブ乳がんに対するレジメンにがん免疫療法が新たに加わったことで、治療のパラダイムが変わる可能性があります」