肺がんに対する放射線治療による肺臓炎リスク、治療前のCT画像から高精度に予測

文:がん+編集部

 放射線治療の副作用の1つ「放射性肺臓炎」のリスクを、治療前のCT画像を人工知能による解析することで予測精度が向上する技術が開発されました。

肺臓炎リスクが高い領域へ照射しないことでリスクを低減

 広島大学は8月26日、治療前のCT画像から放射性肺臓炎のリスクを、人工知能による解析で予測精度を向上させる技術の開発に成功したことを発表しました。同大大学院医系科学研究科の河原大輔助教、今野伸樹医師、服部登教授、永田靖教授らの研究グループによるものです。

 ステージ3の肺がんに対する標準治療は、化学療法と放射線治療を組み合わせて行う化学放射線治療です。近年は、化学放射線治療後に免疫チェックポイント阻害薬による維持療法を行う臨床試験が行われ、従来の標準治療よりも治療効果が大きく改善されたことが報告されています。

 免疫チェックポイント阻害薬による治療は、放射線治療後の放射性肺臓炎により発熱や咳などの症状があると治療の中断や中止されることがあるため、放射性肺臓炎のリスクを低減することが重要です。しかし、治療前から肺臓炎のリスクがわかれば、治療の強度を調節し放射線肺臓炎を防いだり、治療後のマネージメントにより重症化を防いだりできる可能性があります。

 今回研究グループは、ラジオミクス解析と呼ばれる手法で、画像ではヒトの目では確認できない数千種類もの画像情報や画像特徴量を人口知能で解析することで、肺臓炎の因子となる画像情報を見つけ出すことに成功しました。また、放射線治療情報も人工知能で解析することで放射線の当たり方によって肺臓炎のリスクが変わることも明らかにしました。予測精度60%程度を示していた過去の研究がありましたが、今回の手法では80.1%まで向上することに成功しました。

 研究グループは今後の展開として、次のように述べています。

 「今回、放射線治療後の肺臓炎予測モデルを構築し、予測精度を従来の報告より大きく改善させました。肺臓炎のリスクがある患者さんには治療の強度を調節し放射線肺臓炎を防いだり、治療後のマネージメントにより重症化を防いだりできる可能性があります。さらに肺臓炎に寄与する因子を明らかにしたことで放射線治療の手法を検討し、肺臓炎のリスクが高い領域へ照射しないことで肺臓炎のリスクを低減することが期待できます」