褐色細胞腫・パラガングリオーマ、家族歴がなくても4人に1人が遺伝性と判明

文:がん+編集部

 褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者さんを対象とした、日本初の大規模調査の結果が発表されました。家族歴がなくても4人に1人が遺伝性によるものと判明しました。

遠隔転移リスクのある褐色細胞腫・パラガングリオーマに対する治療ターゲットの解明を目指す

 筑波大学は9月27日、褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者さん370人を対象とした日本初の大規模調査の結果を発表しました。同大医学医療系臨床検査医学スポーツ医学研究室の與那嶺正人研究員らの研究グループによるものです。

 褐色細胞腫・パラガングリオーマは、腎臓の上にある副腎や頸部、胸部、膀胱付近の傍神経節に発生する希少がんの1つです。欧米の研究では、遺伝子性の割合が高いとされてきましたが、日本人を対象とした包括的な研究はありませんでした。

 本研究では、褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者さん370人を対象に遺伝子検査を行ったところ、32.4%で発症原因となる遺伝子変異を生まれつき保有していたことが判明しました。また、家族歴や特徴的な随伴疾患がなく遺伝性ではないと思われた患者さんの4人に1人も発症原因となる遺伝子変異を生まれながらに保有していたことがわかりました。この遺伝子変異をもつ患者さんは転移の頻度が高く、特に「SDHB」と呼ばれる変異を持つ患者さんの3人に1人が転移性でした。

 研究グループは今後の展開として、次のように述べています。

 「褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者さんにおいて病的バリアントの有無を診断後早期に確認することは、遠隔転移のリスクを把握し、術後の適切なフォローアップにつながります。患者の血縁者において、褐色細胞腫・パラガングリオーマを発症していない時点で遺伝子バリアントを保有していることがわかれば、速やかに定期的なスクリーニングを開始することで早期発見・早期治療へと発展する可能性があります。本研究で示された⽇本⼈褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者における病的バリアントの保有頻度の⾼さは、遺伝学的検査の臨床的妥当性を示す1つの根拠となります。遠隔転移を引き起こすメカニズムやバリアントを有する褐色細胞腫・パラガングリオーマに対する治療ターゲットの解明を目指しています」