「キイトルーダ+化学療法」、PD-L1陽性の転移性トリプルネガティブ乳がんの一次治療として全生存期間を有意に改善
2021/11/12
文:がん+編集部
「ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)+化学療法」併用療法が、PD-L1陽性の転移性トリプルネガティブ乳がんの一次治療として、全生存期間の有意な改善を示しました。
PD-L1陽性(CPS≧10)に対し、キイトルーダはプラセボに比べ死亡リスクを27%低下
米メルク社は9月19日、転移性トリプルネガティブ乳がんに対する一次治療として、「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法を評価したKEYNOTE-355試験の結果を発表しました。
KEYNOTE-355試験は、化学療法歴のない転移性トリプルネガティブ乳がん患者さんに対する一次治療として、「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法と「プラセボ+化学療法」を比較した、2つのパートで構成された第3相試験です。化学療法は、パクリタキセル、ナブパクリタキセルまたはゲムシタビン/カルボプラチンから医師により選択されました。
主要評価項目は、PD-L1陽性(CPS ※≧1、CPS≧10)の患者さんと全患者さんに対する全生存期間と無増悪生存期間です。副次的評価項目は、奏効率、奏効期間、病勢コントロール率、患者報告アウトカム、安全性でした。
PD-L1陽性(CPS≧10)患者さんに対する全生存期間の解析の結果、「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法は「プラセボ+化学療法」と比較して死亡リスクが27%低下。全生存期間の中央値は、「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法23.0か月、「プラセボ+化学療法」16.1か月で、6.9か月延長しました。PD-L1陽性(CPS≧1)患者さんに対する解析では、全生存期間の有意な差は認められませんでした。
安全性に関しては、グレード3~5の有害事象が、「ペムブロリズマブ+化学療法」併用療法で68.1%、「プラセボ+化学療法」66.9%で、有害事象による治療中止は、それぞれ18.3%と11.0%でした。
University of California San Francisco (UCSF) Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのBreast Oncology and Clinical Trials Educationディレクター、Hope Rugo博士は、次のように述べています。
「転移性トリプルネガティブ乳がんは、乳がんの中で最も生命予後が不良であり、生存期間を延長できる治療選択肢が喫緊に求められています。このたび得られたペムブロリズマブの併用療法の全生存期間の結果は非常に心強く、化学療法単独の場合と比較して、PD-L1陽性(CPS≧10)の転移性トリプルネガティブ乳がん患者さんの死亡リスク減少率は27%となりました」
※ CPS(combined positive score):PD-L1陽性細胞数を総腫瘍細胞数で割り、100を掛けた数値。