在宅がん患者の介護者、最も負担に感じているのは時間的要因

文:がん+編集部

 日本のがん患者さんの緩和ケアの質の評価を目的にした大規模な全国遺族調査「Japan Hospice and Palliative Care Evaluation study (J-HOPE研究)」の結果が発表されました。主な介護負担は時間的要因であったことが明らかになりました。

主な介護負担は時間的要因、要介護度が中程度で最も高く、55歳未満の若年介護者で高い

 大阪大学は10月6日、日本のがん患者さんの緩和ケアの質を評価した大規模な全国遺族調査J-HOPE研究の結果を発表しました。同大学大学院医学系研究科博士後期課程/日本学術振興会の大槻奈緒子特別研究員と同大学キャンパスライフ健康支援センターの山本陵平准教授らの研究グループによるものです。

 J-HOPE研究は、在宅ホスピス・緩和ケアを受けて亡くなったがん患者さんの介護者を対象にした研究で、今回の調査は2014~2018年1月に行われました。家族介護者710人に調査票を配布し、342人から有効回答が得られました。

 在宅がん患者さんの介護者にとって、時間的、経済的、心理的、肉体的な負担などのさまざまな負担要因のうち、どのような要因が最も大きな負担になっているか、また介護負担は、どんな患者さんや介護者の特徴があると負担が大きくなるのかについて調査が行われました。

 その結果、主な介護負担は時間的要因で、患者さんの要介護度が中程度で最も高く、55歳未満の若年介護者で高いことがわかりました。

 研究グループは本研究成果の意義として、次のように述べています。

 「在宅がん患者の介護において、患者の要介護度が中程度(要介護2~3)、および55歳未満の若年介護者において、時間的な介護負担が高いことを本研究は明らかにしました。今の日本の介護保険制度は、要介護度が高い患者により多くの介護サービスを提供するしくみになっており、最も介護サービスのニーズが高い、働きながら日々忙しく親の介護をする子ども世代への支援が十分でない可能性を示唆する結果です。2025年には団塊の世代が後期高齢者となり、ますます介護が必要な在宅療養者が増加することが予測されます。増加する要介護者と介護を担う就労世代である若年の介護者を社会全体で支えるしくみづくりの再構築が望まれます」