「オプジーボ+化学療法」、PD-L1陽性・HER2陰性の進行・転移性胃がん、胃食道接合部がん、食道腺がんの適応でECが承認

2021/11/25

文:がん+編集部

 「ニボルマブ(製品名:オプジーボ)+化学療法」を、PD-L1陽性、HER2陰性の進行・転移性胃がん、胃食道接合部がん、食道腺がんの治療薬として欧州委員会(EC)が承認しました。

「オプジーボ+化学療法」、化学療法と比べて死亡リスクを31%低下

 ブリストル マイヤーズ スクイブ社は10月21日、PD-L1陽性(CPS≧5)でHER2陰性の進行または転移性の胃がん、胃食道接合部がん、食道腺がんの一次治療薬として、「ニボルマブ+化学療法」がECから承認されたことを発表しました。今回の承認はCheckMate-649試験の結果に基づくものです。

 CheckMate-649試験は、未治療のHER2陽性以外の進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの患者さんを対象に、「ニボルマブ+化学療法」または「ニボルマブ+イピリムマブ(製品名:ヤーボイ)」を、化学療法単独と比較評価した第3相試験です。主要評価項目はCPSが5以上の患者さんを対象に、「ニボルマブ+化学療法」と化学療法を比較した全生存期間と無増悪生存期間でした。主な副次的評価項目はCPSが1以上の患者さんおよび全無作為化患者さんを対象に、「ニボルマブ+化学療法」と化学療法を比較した全生存期間と、「ニボルマブ+イピリムマブ」の全生存期間と症状悪化までの期間でした。

 CPSが5以上の患者さんの解析の結果、全生存期間および無増悪生存期間を統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善しました。全生存期間の改善は、CPSが1以上の患者さんおよび全無作為化患者さんでも認められました。「ニボルマブ+化学療法」の安全性プロファイルは、各薬剤のこれまでに報告されている安全性プロファイルと一貫していました。

 同社の消化器がん領域担当開発責任者であるIan M. Waxman医師は、次のように述べています。

 「この承認は、胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの多くの患者さんにとって多大な成果であり、長年にわたり使用されていた標準治療と比較して良好な全生存期間を示した新たな治療選択肢となります。過去10年間においてHER-2陰性の胃がん患者さんにとって治療法に大きな進展がありませんでしたが、私たちはこの分野を前進させ、欧州連合の患者さんにこのオプジーボによる併用療法を紹介できることを大変うれしく思います」

CheckMate-649試験におけるCPSが5以上のPD-L1陽性患者での有効性および安全性の結果

全生存期間(最短19.4か月間の追跡調査)の中央値
「ニボルマブ+化学療法」:14.4か月
化学療法:11.1か月

無増悪生存期間(最短19.4カ月間の追跡調査)の中央値
「ニボルマブ+化学療法」:8.31か月
化学療法:6.05か月

安全性(頻度が高く報告された副作用
末梢神経障害(53%)、悪心(48%)、疲労(44%)、下痢(39%)、嘔吐(31%)、食欲減退(29%)、腹痛(27%)、便秘(25%)および筋骨格痛(20%)、発熱(19%)、発疹(18%)、口内炎(17%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(13%)、咳嗽(13%)、浮腫(末梢浮腫を含む)(12%)、頭痛(11%)および上気道感染(10%)

※ CPS(combined positive score): PD-L1陽性細胞数を総腫瘍細胞数で割り、100を掛けた数値。