キイトルーダ、トリプルネガティブ乳がんに対する術前術後の治療薬として国内申請
2021/11/30
文:がん+編集部
HR陰性かつHER2陰性(トリプルネガティブ)の乳がんに対する術前化学療法との併用療法とそれに続く術後治療として、ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の承認申請が行われました。
キイトルーダ、化学療法と比べ完全奏効率と無イベント生存期間を有意に改善
MSDは10月25日、ペムブロリズマブをHR陰性かつHER2陰性の乳がんに対する術前化学療法との併用療法と、それに続く術後の単独療法として製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったことを発表しました。今回の申請は、KEYNOTE-522試験の結果に基づくものです。
KEYNOTE-522試験は、治療歴のないステージ2または3のトリプルネガティブ乳がん患者さん1,174人を対象に、ペムブロリズマブと化学療法を比較した第3相臨床試験です。ペムブロリズマブによる治療を受けた患者さんは、術前に「ペムブロリズマブ+化学療法」、術後にペムブロリズマブ単独療法が行われました。ペムブロリズマブと併用した化学療法は、「カルボプラチン+パクリタキセル、その後ドキソルビシンまたはエピルビシン+シクロホスファミド」でした。対照グループの患者さんは、同様の術前化学療法のみでした。
主要評価項目は完全奏効率、無イベント生存期間、副次的評価項目は根治手術時の完全奏効率、全生存期間、PD-L1陽性(CPS※≧1)患者さんの無イベント生存期間、安全性、患者報告アウトカムでした。
解析の結果、ペムブロリズマブによる治療を受けた患者さんでは、化学療法のみの患者さんと比較して、完全奏効率と無イベント生存期間の有意な改善が示されました。安全性に関しては、これまでに報告されている安全性プロファイルと一致していました。
※ CPS(combined positive score): PD-L1陽性細胞数を総腫瘍細胞数で割り、100を掛けた数値。