サークリサ、再発または難治性の多発性骨髄腫に対する用法・用量の追加承認を取得

2021/12/20

文:がん+編集部

 再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬としてイサツキシマブ(製品名:サークリサ)の用法・用量の一部追加申請が承認されました。

サークリサ単独・併用療法、有効性と安全性を評価した3つの臨床試験の結果に基づき承認

 サノフィは11月25日、再発または難治性の多発性骨髄腫の治療薬としてイサツキシマブの製造販売承認事項一部変更に関する承認を取得したことを発表しました。追加された承認事項は、再発または難治性の多発性骨髄腫に対するイサツキシマブ単独療法、「カルフィルゾミブ(製品名:カイプロリス)+デキサメタゾン」併用療法(Kd療法)との併用、デキサメタゾンとの併用療法です。今回の承認は、IKEMA試験、ISLANDs試験、TED10893試験の結果に基づくものです。

 IKEMA試験は、過去に1~3つの前治療歴のある再発性の多発性骨髄腫患者さん302人を対象に、「イサツキシマブ+Kd療法」とKd療法を比較した第3相試験です。主要評価項目は無増悪生存期間、副次的評価項目は奏効率、VGPR以上の奏効率、微小残存病変、完全奏効率、全生存期間、安全性などでした。解析の結果、病勢進行または死亡リスクが47%低下しました。この治療効果は、複数のサブグループ解析でも一貫していました。

 ISLANDs試験は、日本人の再発または難治性の多発性骨髄腫患者さん36人を対象に、イサツキシマブ単独療法の有効性と安全性を評価した第1/2相試験です。対象患者さんは、プロテアソーム阻害薬および免疫調節薬を含む3レジメン以上の前治療歴、またはプロテアソーム阻害薬および免疫調節薬のいずれに対しても難治性でした。解析の結果、主要評価項目の奏効率は36.4%でした。安全性に関しては、57.6%に副作用が認められ、主な副作用は、Infusion reaction 39.4%、肺炎6.1%、背部痛6.1%、血小板減少6.1%、白血球減少6.1%などでした。

 TED10893試験は、海外で実施した第1/2相試験です。第2相パートでは、再発または難治性の多発性骨髄腫患者さん164人を対象に、「イサツキシマブ+デキサメタゾン」併用療法、イサツキシマブ単独療法の有効性と安全性が評価されました。対象患者さんは、プロテアソーム阻害薬および免疫調節薬を含む3レジメン以上の前治療歴がある、またはプロテアソーム阻害薬および免疫調節薬のいずれに対しても難治性でした。主要評価項目の奏効率は、「イサツキシマブ+デキサメタゾン」併用療法は43.6%、イサツキシマブ単独療法は23.9%でした。

 安全性に関して、「イサツキシマブ+デキサメタゾン」併用療法の74.5%に副作用が認められました。主な副作用は、Infusion reaction 40.0%、不眠症21.8%、呼吸困難10.9%、咳嗽10.9%、悪心10.9%、消化不良7.3%、肺炎5.5%、高血糖5.5%、頭痛5.5%、咽喉刺激感5.5%、嘔吐5.5%などでした。また、イサツキシマブ単独療法の61.5%に副作用が認められました。主な副作用は、Infusion reaction40.4%、呼吸困難12.8%、咳嗽11.0%、悪心10.1%、疲労7.3%、頭痛7.3%、嘔吐6.4%などでした。

 IKEMA、ISLANDs 試験に参加した日本赤十字社医療センター 骨髄腫アミロイドーシスセンターセンター顧問の鈴木 憲史先生は、次のように述べています。

 「多発性骨髄腫には様々な治療薬がありますが、多くの患者さんで再発が認められるため、大きなアンメットニーズが存在します。この度承認されたサークリサの投与法が、新たな治療選択肢として多くの患者さんに希望を届けることを期待します」